記述式問題の解法や必要な知識について、令和7年度の記述式問題を題材にして学習します。
問題44 行政法
まず、何が問われているか確認しましょう。ここでは、「主張しようとする瑕疵がどのようなものであり」、「誰を被告として」、「どのような抗告訴訟を提起すべきか」を答えることがわかります。
それでは、問題文を読んでみましょう。
本問は、本件処分を不服として、審査請求をし、請求を棄却する裁決が行われたところ、審理員のひとりが「当該建築確認につき利害関係を有する者」に当たることが判明したというものです。問題文に記載されている参照条文をみると、建築基準法82条は、「委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、……審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができない。」と規定されています。利害関係のある者がいると公正な判断が期待できないことから、このような規定が設けられています。
審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができないにもかかわらず、議事に加わっていたということは、手続に瑕疵があったということです。
ここでは、「裁決固有の瑕疵がある」点を答えます。
次に、被告適格について考えましょう。被告適格は頻出なので、行政事件訴訟法11条を確認しましょう。
① 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
② 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない(行政事件訴訟法11条2項)。
本問では、裁決をした行政庁が「Y市建築審査会」なので、公共団体である「Y市」に所属します。
「どのような抗告訴訟を提起すべきか」も入ってしまいますが、今回は、審査請求の裁決を取消すことを争うため、2号を見ましょう。「当該裁決をした行政庁」である「Y市建築審査会」は「Y市」に所属するので、「Y市」を被告とします。
「どのような抗告訴訟を提起すべきか」は、今みたように「裁決の取消しの訴え」を提起します。
最後に、問題形式に沿って記述しましょう。
例:裁決固有の瑕疵に当たるものであり、Y市を被告として、裁決の取消しの訴えを提起する。(41字)
問題45 民法
まず、何が問われているか確認しましょう。「どのような場合に上記の類推適用を認めているか」を答えます。
続いて、問題文を読んでいきましょう。
本問では、代理権を授与されていないAの配偶者Bが、本件契約を締結したというものです。
まず、代理は、代理権の権限内において、顕名があることが必要です。
無権代理は、効力を生じないのが原則です。まずは、無権代理は無効であるという原則をおさえましょう。
もっとも、すべての無権代理が無効であると、取引の相手方を害することになってしまいます。そこで、一定の場合において、無権代理行為の効果を本人に帰属させます。これが表見代理です。
次に、日常の家事に関する債務の連帯責任をみてみましょう。夫婦の一方(配偶者B)が「日常の家事」に関して第三者と法律行為(本件契約)をしたときは、他の一方(A)は、これによって生じた債務について、連帯して責任を負います。夫婦相互には日常の家事に関して法定代理権があると考えることができます(最判昭44.12.18)。
ここで、「日常の家事」に関する法律行為は、どのような基準で判断するかが問題となります。
判例は、「単に夫婦の共同生活の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも十分に考慮して判断すべきである」とします(最判昭44.12.18)。
本問において、「高級腕時計甲」を売却することが「日常の家事」に入るかというと難しいといえます。
そうすると、「日常の家事」に入らないため、「本件契約」は無権代理になりそうです。
もっとも、夫婦相互の「日常の家事」に関する代理権を基本代理権として、110条の権限外の行為の表見代理が成立するかが問題となります。
判例は、夫婦の財産的独立の趣旨を没却するおそれがあることから、761条の法定代理権は、110条の基本代理権にはあたらないとしています。つまり、110条は直接適用できないということです。
もっとも、「当該越権行為の相手方である第三者において、その行為が当該夫婦の日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるとき」には、「110条の趣旨を類推適用する」としています。
ここまでが本問を解くのにあたって必要な判例の流れになります。行政書士試験対策としては、少し難しいですが、この部分が答えられると完答になります。
最後に、問題形式に沿って記述しましょう。
行政書士試験の学習をしていて、この問題にすべて答えるのは難しいと思うので、「日常家事」というキーワードは外さず、「法律行為の範囲内」「正当の理由」のどちらかが書けるくらいでよいと思います。
例:本件契約が日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由がある場合。(43文字)
問題46 民法
まず、何が問われているか確認しましょう。「どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないのか」、「そのための費用を、どのような法的性質を有するものとしてBに対して償還を請求することができるか」答えます。
毎年、民法の2問目(問題46)は難しいので、できるだけ1問目(問題45)で得点しておきたいところです。もっとも、令和7年度は、1問目も完答が難しいので、2問目もできるだけ頑張りたいところです。
それでは、問題文を読んでいきましょう。
Aは、「本件火災」を見つけ、消火活動を開始したというものです。
Aは、義務なく消火活動を開始したので、事務管理を行ったといえます。
管理者は、事務管理を継続しなければなりません。一度事務の管理を始めたのだから、本人等に引き継ぎができるまで管理しましょうということです。
「どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないのか」の部分は、「事務管理に基づき」といった内容を記述します。
管理者Aは、有益費として、Bに対して償還を請求することができます。
最後に、問題形式に沿って記述しましょう。
例:Aは事務管理に基づき消火活動を継続しなければならず、有益費をBに対して償還を請求できる。(44文字)
