病気やけがで長期間働くことができなくなったとき、健康保険に加入している方であれば、傷病手当金が支給されます。
この記事では、傷病手当金の支給要件や金額、期間、申請方法についてわかりやすく解説します。申請時の注意点についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
傷病手当金の支給要件
傷病手当金は、病気やけがのため働くことができないときは、働くことができなくなった日から連続して3日を経過した日、4日目から仕事をすることができない期間、支給されます。
まず、対象となるのは、健康保険の被保険者です。勤務先で「社会保険に入っている」といったときの保険が健康保険になります。「協会保険」(協会けんぽ)や「組合保険」といった言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、どちらも対象です。
一方、自営業者や無職の方などが加入している「国民健康保険」の被保険者は原則として対象にならないので注意しましょう。原則というのは、市町村は、条例で定めることにより、国民健康保険の傷病手当金を給付することができるようになっているからです。
次に、働くことができない日が連続して3日あることが必要です。飛び石になると、再び1日目から計算されるので注意しましょう。4日目以降は、飛び石であっても問題ありません。
傷病手当金の支給金額
傷病手当金の支給金額は、1日につき、1日あたりのお給料の3分の2に相当する金額です。
正確には、直近の継続した12か月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額が基本となりますが、ざっくり、お給料の3分の2が支給されると考えましょう。
お休みした期間について、お給料が支払われたときは、傷病手当金は支給されません。もっとも、お給料の一部など、傷病手当金の金額より少ない金額が支払われた場合は、差額が支給されます。
傷病手当金の支給期間
傷病手当金の支給期間は、同一の病気やけがに関しては、支給を始めた日から通算して1年6か月間です。たとえば、途中で1か月間働いて再び休んだ場合でも、支給を開始した日からの通算期間で計算されるため、その1か月分は差し引かれます。
傷病手当金の申請方法
傷病手当金の支給を受けようとするときは、申請書を保険者に提出します。
保険者は、保険証下部の「保険者名称」に書かれています。協会保険の場合、「全国健康保険協会」(以下、協会)となっています。お勤め先に健康保険組合がある場合、「◯◯健康保険組合」などと書かれています。
ここから申請方法について、具体的にみていきましょう。
①申請書を準備する

全国健康保険協会「健康保険傷病手当金支給申請書」
申請書は、保険者のホームページ(全国健康保険協会の「健康保険傷病手当金支給申請書」はこちら)からダウンロードできます。組合保険の方は、「◯◯保険組合 傷病手当金」で検索してみましょう。入手できない場合は、保険者に連絡すると対応してもらえます。
マイナンバーカードを保険証利用している方は、マイナポータルの「医療保険の資格情報」から保険者名等を確認することができます。
以下、協会保険を例に進めます。
申請書の1ページ、2ページ目に氏名や住所、振込先指定口座などの情報を記入します。
3ページ目は、事業主の証明書です。事業主に記入してもらいます。本社がある会社の場合は、労務部に相当する部署に連絡すると対応してもらえます。
4ページ目は、医師の意見書です。医師に記入してもらいます。医師の意見書は、保険が適用されるので、通常の3割負担であれば、1枚300円です。
その他、添付書類が必要になる場合があるので、「健康保険傷病手当金支給申請書」のページの「添付書類」欄を確認しておきましょう。
②申請書を提出する
申請書を協会けんぽ支部に郵送します。各支部の送付先は、「都道府県支部」から調べられます。
③傷病手当金が支給される
協会保険の場合、申請書受付後、内容に不備などがない場合には10営業日(約2週間)で支給されます。
傷病手当金を申請するときに注意したいこと
最後に、傷病手当金を申請するにあたり、注意したいことを2点あげます。
書類不備に気をつけよう
書類に不備があると、傷病手当金の支給までに時間を要してしまいます。記入例などを参考にしながら、書類に不備がないように気をつけましょう。また、医師の意見書や事業主の証明書など、どうしても時間を要する部分もあるので、余裕を持って行動しましょう。
自分で申請しよう
傷病手当金は、(要件を満たした上で)申請書を提出すれば支給されます。社会保険労務士に代行をお願いすることもできますが、1件あたり3万円ほど費用がかかるので、できれば自分で申請するようにしたいところです。なお、社会保険労務士と弁護士以外の者がこれらの行為を代行することは禁じられているので、注意しましょう。
まとめ
- 支給要件:3日の待機期間後、4日目から支給
- 支給金額:1日につき、1日あたりのお給料の3分の2
- 支給期間:支給を始めた日から通算して1年6か月間
- 申請方法:申請書を保険者に提出する