全国,郷土に関する本は数あれど,沖縄に関する本は,特に独自色が強い気がします。書店で山のようになっている本をAmazonなどネット書店で調べても,取り扱いがないこともザラです。
そうすると,紙の書籍で買う意義も感じますよね(笑)。
今回ご紹介する『復帰前へようこそ』は,第1回「この沖縄本がスゴい!」受賞作品です。
復帰前の沖縄が好きな人におすすめ
本書は,復帰前の沖縄がわかります。
復帰前を知る世代には,写真を見てそれぞれの「あの日の沖縄」を思い起こしていただいたり,若い世代には,自分たちの父母,祖父母が通ってきた日々を話題にしてもらえればいいと思います。
私は,「復帰前の沖縄」についてはわからないので,本書を見ながら,「あの日の沖縄」を想像しながら,リアルタイムの思い出がある人たちを「いいな,いいな」と羨ましく思っています。
『復帰前へようこそ』の目次
本書の構成は,以下の通りです。
- 第1章:子ども
- 第2章:暮らし
- 第3章:交通
各章では,それぞれのテーマにちなんだ写真が掲載されています。私は,第2章「暮らし」が,アメリカ色を感じて,特に好きでした。これが「当たり前(世の中の常識)」だと思っていた世代の人たちがいるというのは,本当に不思議なことだと思います。
「この沖縄本がスゴい!」まとめ
本書は,県内の書店がおすすめの1冊を選ぶ「この沖縄本がスゴい!」の受賞作品です。
そこで,改めて受賞作をまとめてみます。
- 第1回:復帰前へようこそーおきなわ懐かし写真館ー(海野文彦/新星出版)
- 第2回:絵でみる御願365日(むぎ社)
- 第3回:ぼくの沖縄<復帰後>史プラス(新城和博/ボーダーインク)
当サイトでは,第3回受賞作品の『ぼくの沖縄<復帰後>史プラス』も紹介しています。
もちろん,今後もチェックしていきたいところです。
冷やしレモン
売っているのは「冷やしコーヒー」と「冷やしレモン」の二種類だけ。ここはメニューそのものに「冷やし」がついているのだった。
衣服や布地,生活雑貨を扱う店が多い平和通りにあって近くに食堂がなかったためか,この店の周りにはいつも人だかりがしていた。場所がら,女性客が多いのも特徴で,買い物帰りの母子がノドを潤し一息ついて立ち去った。
平和通りは,国際通りのドン・キホーテの隣(市場本通り)の隣(むつみ橋商店街)の隣(平和通り商店街)にあります。本書の写真を見ると,「こんな感じだったのか!」と驚きます。とは言うものの,平和通りも,今の那覇でもかなり風情のある場所のひとつだと思います。
1号線
復帰前の沖縄の主要道路は,純軍用道路(基地内道路),軍管理道路(米軍が建設し管理),琉球政府道,軍管理道路(米軍が建設し管理),琉球政府道,市町村道の四つに大別された。そのうち,もっとも利用度が高い道を軍管理道路として米軍がおさえていた。沖縄本島を南北に貫く1号線(現国道58号)や,与那原交差点からキャンプ辺野古までつながる13号線,宜野湾真栄原からコザへと通ずる5号線なども軍管理道路だった。
私は,本書を読むまで,国道58号線が昔は「1号線」と呼ばれていたことを知りませんでした。
泊高橋交差点の横断歩道橋(昭和43年/1968年)などの写真も掲載されているので,当時を知る人,今を知っている人はきっと楽しめると思います(私も毎日のように走っている場所です)。
まとめ
本書は,復帰前の沖縄がわかる一冊です。あの日を思い出すこと,または自分が生まれる前のことを知るのはとても楽しいですよね。あの日を懐かしく感じたい方も,あの日のことを知りたい方も,沖縄の歴史が好きな方ならぜひおすすめできる一冊と言えるでしょう。
書名 | 復帰前へようこそ |
著者 | 海野文彦 |
出版社 | ゆうな社 |