行政法の行政上の義務履行確保から直接強制について学習します。
直接強制とは
直接強制とは、義務者が義務を履行しない場合、直接義務者の身体または財産に実力を加え、義務の内容を実現することをいいます。
直接強制は、義務者の身体または財産に直接実力を加えるので、人権侵害の程度が極めて大きくなります。そのため、直接強制が認められているのは、成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法3条、学校施設の確保に関する政令21条などわずかなものになります。
成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法
第3条 国土交通大臣は、規制区域内に所在する建築物その他の工作物について、その工作物が次の各号に掲げる用に供され、又は供されるおそれがあると認めるときは、当該工作物の所有者、管理者又は占有者に対して、期限を付して、当該工作物をその用に供することを禁止することを命ずることができる。
① 多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用
② 暴力主義的破壊活動等に使用され、又は使用されるおそれがあると認められる爆発物、火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用
③ 成田国際空港又はその周辺における航空機の航行に対する暴力主義的破壊活動者による妨害の用
成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法は、成田国際空港や周辺における航空機の航行を妨害する暴力主義的破壊活動を防止するために定められた法律です。3条では、規制区域内に所在する建築物や工作物について、暴力主義的破壊活動等に供されるおそれがあると認めるときは、その用に供することを禁止することを命ずることができるとしています。
学校施設の確保に関する政令
第21条 この政令の規定により命ぜられ、又はこの政令の規定に基いて管理者により命ぜられた行為を義務者が履行しない場合において、行政代執行法による代執行によっては義務の履行を確保することができないときは、管理者は、直接にこれを強制することができる。
学校施設の確保に関する政令は、ポツダム宣言の受諾に伴い制定されたもので、学校教育に必要な施設を確保するために、学校施設が学校教育の目的以外の目的に使用されることを防止するものです。
本政令3条では、「学校施設は、学校が学校教育の目的に使用する場合を除く外、使用してはならない」と規定し、4条では、「管理者は、学校教育上支障があると認めるときは、学校施設の占有者に対してその学校施設の全部又は一部の返還を命ずることができる」としています。
そして、21条では、「この政令の規定に基づいて管理者により命ぜられた行為を義務者が履行しない場合で、代執行によっては義務の履行を確保することができないときは、管理者は、直接強制ができる」としています。
