民法の債権の総則の債権の効力から債務不履行の責任等について学習します。
第1節は、債権の目的について学習しました。第2節は、債権の効力について学習します。
第2節「債権の効力」は、全3款で構成されています。
- 第1款 債務不履行の責任等
- 第2款 債権者代位権
- 第3款 詐害行為取消権
今回は、第1款「債務不履行の責任等」についてみていきましょう。
履行期と履行遅滞
債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う(412条1項)。
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、[①]その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又は[②]その期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う(412条2項)。
債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(412条3項)。
債務の履行について、3つの場合をおさえましょう。
たとえば、確定期限があるとき、8月31日の終了時から遅滞の責任を負います。期間の計算については、141条、140条を確認しておきましょう(債権法のためここでは割愛します)。
履行不能
債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない(412条の2第1項)。
契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第415条[債務不履行による損害賠償]の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない(412条の2第2項)。
債務の履行が不能であるとき、債権者は、債務の履行を請求することができません。火事によって目的物が燃えてしまったなどの場合は、債権者は、引渡しを請求することができず、あとで学習する損害賠償などによって解決することになります。
2項について、債務の履行が契約の成立の時に不能であっても、契約自体は有効に成立します。もっとも、1項が定めるように、債権者は債務の履行を請求することはできないので、同じように損害賠償などによって解決することになります。
履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由
債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす(413条の2第1項)。
[①]債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は[②]受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす(413条の2第2項)。
1項について、たとえば、売主が引渡し債務について遅滞している間に、当事者双方の責めに帰することができない火事によって引渡しの履行が不能となったときは、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなします。債務者が遅滞しなければ火事にあうことはなかったと考えると、理解しやすいと思います。
2項について、たとえば、買主が引渡しを受けることを拒んだ場合に、当事者双方の責めに帰することができない火事によって引渡しの履行が不能となったときは、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなします。1項のときと同じように考えることができます。
履行の強制
債務者が任意に債務の履行をしないときは、履行の強制を請求することができます。
債務不履行による損害賠償
[①]債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき[②]又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(415条1項)。
415条は、民法で最重要の条文のひとつです。
債務不履行があった場合、債権者は、債務不履行によって生じた損害の賠償を請求することができます。ただし、債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、することができません。
損害賠償の範囲
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする(416条1項)。
特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる(416条2項)。
損害賠償の請求の範囲は、債務不履行によって通常生ずべき損害となります。
また、特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、債務不履行の賠償を請求することができます。
損害賠償の方法
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭によって定めます。
過失相殺
債務の不履行やこれによる損害の発生等に関して債権者にも過失があるときは、過失を考慮します。債権者側にも2割過失があるなら、1000万円の損害賠償を800万円にするなどが考えられます。
金銭債務の特則
第1項[金銭の給付を目的とする債務の不履行]の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない(419条3項)。
金銭債務の損害賠償については、債務者は不可抗力、たとえば、地震などを理由とすることはできません。かんたんにいうと、お金を返すことについては、言い訳することができないということです。
賠償額の予定
当事者は、損害賠償の額を予定しておくことができます。あらかじめ、損害賠償の額を予定することによって、損害賠償の額について、争いを避けることができるようになります。
