民法の物権から先取特権について学習します。第8章「先取特権」は、全4節で構成されています。もっとも、それほど細かいことが問われることはないので、かんたんに全体像をおさえておきましょう。
目次
第1節 総則
先取特権の内容
先取特権は、債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる法定担保物権です。先に取ることができる特別な権利だと考えるとわかりやすいと思います。
物上代位
先取特権は、目的物の売却等によって債務者が受けるべき金銭、たとえば、保険金などに対しても行使することができます。これを物上代位といいます。ただし、物上代位の対象となる債権を特定するため、また、第三債務者、たとえば、保険金を支払う保険会社が誰に支払えばよいかわからず、不測の損害を防ぐために、差押えをしなければならないとされています。
第2節 先取特権の種類
先取特権は、①一般の先取特権、②動産先取特権、③不動産先取特権の3種類が規定されています。試験対策として、細かいことは問われないので、それぞれどのようなものがあるかみていきましょう。
一般の先取特権
① 共益の費用
② 雇用関係
③ 葬式の費用
④ 日用品の供給
一般の先取特権は、債務者の総財産について、登記などの公示なく先取特権を有します。たとえば、共益の費用は、各債権者の共同の利益のために支出した費用であり、その支出によって他の債権者も利益を得ているため、先取特権を有します。また、葬式の費用は、債務者の扶養する親族のために葬式の費用を出した債権者に先取特権が認められます。
動産の先取特権
① 不動産の賃貸借
② 旅館の宿泊
③ 旅客又は荷物の運輸
④ 動産の保存
⑤ 動産の売買
⑥ 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
⑦ 農業の労務
⑧ 工業の労務
次は、動産の先取特権です。一般の先取特権は債務者の総財産について先取特権を有しましたが、つまり、すべての財産から優先的に弁済を受けられましたが、動産と次の不動産の先取特権は、債務者の特定の動産や不動産、つまり、対象となっている動産や不動産について先取特権を有します。具体的にどのようなものが対象となるかイメージできた方がわかりやすいと思うので、条文をみてみましょう。
不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲
旅館宿泊の先取特権
それぞれの動産がどのようなものが対象となるかを暗記する必要はないので、不動産の賃貸借や旅館宿泊が動産の先取特権の対象となるという点をおさえておきましょう。
不動産の先取特権
① 不動産の保存
② 不動産の工事
③ 不動産の売買
最後は、不動産の先取特権です。不動産の先取特権は、不動産の保存・工事・売買について生じます。
第3節 先取特権の順位
※省略
第4節 先取特権の効力
先取特権と第三取得者
不動産の先取特権は登記をして公示することができます。一方、動産の先取特権は公示方法がありません。そのため、取引安全との調和から、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、動産の先取特権を行使することができません。
