行政法の行政上の義務履行確保から即時強制について学習します。
即時強制とは
即時強制とは、義務の存在を前提とせず、行政上の目的を達するため直接身体もしくは財産に対して有形力を行使することをいいます(櫻井=橋本182頁)。
これまでの行政上の強制執行(①代執行、②執行罰、③直接強制、④行政上の強制徴収)は、国民に行政上の義務があって、それが履行されない場合になされるものでした。即時強制は、義務を命じる余裕のない場合、義務を命ずることなく直ちになされます。この違いをおさえておきましょう。
即時強制の具体例としては、警察官職務執行法3条や消防法29条2項などがあります。
警察官職務執行法
第3条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して次の各号のいずれかに該当することが明らかであり、かつ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。
一 精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者
二 迷い子、病人、負傷者等で適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると認められる者(本人がこれを拒んだ場合を除く。)
たとえば、泥酔の人を警察署などで保護することなどです。
消防法
第29条 消防吏員又は消防団員は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。
② 消防長等は、火勢、気象の状況その他周囲の事情から合理的に判断して延焼防止のためやむを得ないと認めるときは、延焼の虞がある消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。
延焼のおそれがある対象物を破壊することなどが該当します。
