【会社法】株式の総則について、株主の責任や権利などのまとめ

商法・会社法
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会社法の株式会社の株式から総則について学習します。株式は、行政書士試験において出題傾向が高い分野のひとつです。ただ、条文数が200条ほどあり、他の試験科目との兼ね合いもあるので、試験対策上、特におさえておきたい部分に絞っていきます。

株式は、全10節で構成されています。

  • 第1節 総則
  • 第2節 株主名簿
  • 第3節 株式の譲渡等
  • 第4節 株式会社による自己の株式の取得
  • 第5節 株式の併合等
  • 第6節 単元株式数
  • 第7節 株主に対する通知の省略等 ※省略
  • 第8節 募集株式の発行等
  • 第9節 株券
  • 第10節 雑則 ※省略

今回は、株式の全体について定めている総則について見ていきましょう。

株式会社>株式>総則


株主の責任

株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする(104条)。

株主は、株式の引受価額の限度で責任を負います。たとえば、100万円分の株式を保有している場合、100万円分の責任は負う、かんたんにいうと、この100万円分の株式の価値がなくなる可能性はあるということです。反対に、100万円を超えて借金を負ったりすることはありません。

株主の権利

株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する(105条1項)。

① 剰余金の配当を受ける権利
② 残余財産の分配を受ける権利
③ 株主総会における議決権

株主に前項第1号及び第2号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない(105条2項)。

株主が株式を保有する主な目的は、剰余金の配当を受けることと議決権を持つことです。株主は、会社の所有者なので、剰余金の配当が受けられたり、株主総会における議決権を持つことができます。もっとも、これらの権利は、定款によって制限することができます。ただ、剰余金の配当を受ける権利と残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、無効となります。

株式の内容についての特別の定め

株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる(107条)。

① 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
② 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
③ 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

前述のように、会社は、株式に一定の事項を定めることができます。

1号について、会社にとって好ましくない者が株主にならないようにするため、会社は、譲渡による株式の取得について、会社の承認を要する旨を定めることができます。これを譲渡制限株式といいます(2条17号)。

2号について、株主が会社に対して株式の取得を請求することができる旨を定めることができます。これを取得請求権付株式といいます(2条18号)。

3号について、会社が一定の事由が生じたことを条件に株式を取得することができる旨を定めることができます。これを取得条項付株式といいます(2条19号)。

2号と3号は、株主からなのか、会社からなのか、方向が逆になっています。

株主の平等

株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない(109条1項)。

前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第105条第1項各号に掲げる権利[株主の権利]に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨定款で定めることができる(109条2項)。

まず、株式会社は、株主を、株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければなりません。

そして、公開会社でない株式会社(非公開会社)は、株主の権利に関する事項、たとえば剰余金の配当を受ける権利などについて、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます。

公開会社とは、発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいいます(2条5号)。なお、公開会社は、IPO(新規公開株式)、いわゆる「上場する」といったものとは別のことなので、注意しましょう。

「譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定め」というのは、107条1号の譲渡制限のことです。全部または一部の株式の内容として譲渡制限がないものを公開会社といいます。株式の全部に譲渡制限がないものが公開会社というのは、わかりやすいと思います。株式の一部に譲渡制限がないものも公開会社ということがわかりにくいので補則します。

たとえば、ある株式会社が2種類の株式を発行しており、A株式は譲渡制限が付いており、B株式は譲渡制限がついていない場合、B株式については公開されているので、公開会社としています。反対に言うと、すべての株式に譲渡制限がついている株式会社だけが非公開会社ということになります。

非公開会社は、会社にとって好ましくない者を株主としないようにするため、譲渡制限を設けて、株式を非公開としています。つまり、誰が株主であるかが重要であるということです。また、譲渡制限がついているため、株主の流動性がほぼありません。そのため、公開会社でない株式会社は、株主の権利について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができるようになっています。

 

SOMEYA, M.

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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