地方自治法における、政令指定都市と中核市についてまとめています。
政令指定都市制度とは
地方公共団体の体系
地方公共団体は、「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」に分かれます。
- 普通地方公共団体:都道府県、市町村
- 特別地方公共団体:特別区(東京23区)、地方公共団体の組合、財産区
市町村の「市」のうち、政令(内閣が制定する命令)で指定する人口50万以上の市を指定都市といい、都道府県が処理することとされているものの全部または一部を処理することができるようになっています(地方自治法252条の19 第1項)。これを政令指定都市制度といいます。
わかりやすくいうと、都道府県に近い権限を与えられているということです。
指定都市
「政令で指定する〜」の政令を見てみましょう。
地方自治法第252条の19第1項の指定都市を次のとおり指定する。
大阪市 名古屋市 京都市 横浜市 神戸市 北九州市 札幌市 川崎市 福岡市 広島市 仙台市 千葉市 さいたま市 静岡市 堺市 新潟市 浜松市 岡山市 相模原市 熊本市
全部で20の都市が指定されています。
行政区
政令指定都市は人口が多いので、市長の権限に属する事務を分掌させる(手分けする)ため、条例で区を設け、区の事務所や出張所を置きます(252条の20第1項)。この区が「行政区」です。
ここで気をつけたいのが、先ほど出てきた特別地方公共団体の特別区(いわゆる東京23区)です。
特別区は、市町村に準ずるものとされていますが、行政区は、市を区切ったものです。
- 東京都>立川市、武蔵野市、港区、渋谷区など(並列関係)
- 大阪府>大阪市>淀川区、住吉区、西成区など(包括関係)
特別区は、それぞれ選挙によって選出された区長さん、区議会議員さんがいますが、行政区は、政令指定都市の市長さんが職員の中から区長や事務所の長を選出します(例:大阪市の市長が選出する)。
東京に住んでいる方は、東京のイメージで大阪や福岡の区を誤解してしまうことがあり、反対に大阪や福岡に住んでいる方は東京の区のイメージを誤解してしまうことがあります。余談ですが、私がいる沖縄県は区がないため、特別区と行政区を混同している会話も珍しくありません。
例:沖縄県中頭郡北谷町(なかがみぐん・ちゃたんちょう)
中核市制度とは
人口20万以上の市で、市からの申出に基づき政令で指定する市を中核市といい、政令指定都市に近い権限が与えられています(252条の24第1項、252条の22 第1項)。これを中核市制度といいます。
政令指定都市が、名前の通り「政令で指定されている都市」であるのに対して、中核市は、市からの申出に基づき政令で指定するのが特徴です。
中核市一覧は、「総務省」のホームページなどで確認できます。中核市に住んでいるという方も多いと思います(私が普段いる那覇市も中核市です)。
政令指定都市と中核市制度の比較
政令指定都市 | 中核市 | |
人口 | 50万以上 | 20万以上 |
市の申出 | 不要 | 必要 |
政令で指定 | 必要 | 必要 |
行政区 | 可能 | 不可 |