今回は、前回の基本書に続き、社労士試験の問題集についてお話したいと思います。
社労士試験の問題集は、大きく過去問とそれ以外の問題集に分けられます。また、出題形式は、一問一答形式のものと本試験形式のものがあります。
過去問題集は文字通り、これまでに本試験で出題された問題を収録した問題集です。過去問集は、出題傾向を知るためにもマストといえます。一方、過去問題集以外の問題集は、オリジナル問題を収録しています。また、過去問とオリジナル問題を合わせたものもあります。オリジナル問題をするかは人によって考え方は異なります。演習量を積みたいという方もいれば、過去問だけで十分と考える人もいます。「過去問だけでは知識の穴がある」という理由もあり、これは演習によってカバーすることもできますが、過去問だけでも周辺知識を埋めることによって対策をすることもできます。
勉強方法は人によってさまざまであり、また向き不向きもあります。一般的にはアウトプットが多い方が知識が定着すると言われていますが、自分は情報を整理しながらインプットをした方がやりやすいと感じる人もいます。これは個人差がありますし、どちらが正しいというものではないと思うため、実際に学習を進める中で試行錯誤をして、自分に合った方法を探していくのがよいと思います。
次に、形式について、一問一答形式のものは、完全に単元ごとに学習できるのが特徴です。ただし、一問一答で答えていくため、本試験ではどのように出題されるのかがわかりにくい難点があります。これは模試などをすることで解決することができます。本試験形式のものは、本試験と同じような形式で学習できるのが特徴です。一方、本試験は総合問題のように単元を横断して出題される問題も少なくないので、注意は必要です。もっとも、「本試験ではこのように出題されるんだ」というトゲを感じることもできるので、個人的には本試験形式のものがおすすめです。
また、基本書と問題集は同じシリーズを選ぶのがおすすめです。多くの場合、基本書と問題集は相互参照できるようになっているからです。それでは、各シリーズごとに問題集を見ていきましょう。
社労士 合格のトリセツ
「社労士 合格のトリセツ」シリーズは、LEC専任講師の椛島講師による著作です。『基本問題集』は、『基本テキスト』に準拠した一問一答形式の問題集です。内容は過去問とオリジナル問題で構成されています。メリットは、基本的な問題を通して知識が得られる点です。これは「合格のトリセツ」シリーズの特徴といえるでしょう。一方、デメリットとしては、基本書のところでもあげたように、本シリーズだけでは合格レベルに達するのは難しい点です。本シリーズで学習を進める方は、ひととおり理解できたら、本格的な学習として、同じLECの「出る順」シリーズに移行するとよいでしょう。
ユーキャンの社労士
ユーキャンの問題集です。基本書にあたる『速習レッスン』に準拠した『過去&予想問題集』と、一問一答形式の『これだけ!一問一答集』があります。どちらも過去問とオリジナル問題で構成されています。基本的な使い方としては、『過去&予想問題集』で問題演習しつつ、わからなかったところは『速習レッスン』に戻るといった方法があります。『これだけ』には、「要点まとめ」も付いていますが、択一式も選択式もこれだけに頼るのは、少しリスクが高いように感じます。ユーキャンの基本書を使っている方は、こちら一択となるでしょう。
「みんなが欲しかった! 」シリーズ
「みんほし」シリーズは、さまざまな問題集が発売されています。
- 問題集
- 合格のツボ 択一対策
- 合格のツボ 選択対策
- 年度別過去問題集 5年分
『問題集』は、基本書である『教科書』に完全準拠した問題集です。基礎的な過去問と予想問(オリジナル問題)が本試験形式で掲載されています。『教科書』を使っている方は、これで知識を定着させていきましょう。
『合格のツボ』は、択一対策と選択対策に分かれており、大量の問題演習ができるようになっています。内容は予想問題で、かなり細かい知識が問われます。これはけっこう好みが分かれるところだと思います。たくさんの問題演習を積みたい方は、本書に向いています。一方、10年分の過去問をするだけで手一杯であったり、本試験とは異なる角度から聞く問題が苦手な方にはおすすめしません。
『年度別過去問題集 5年分』は、年度別に過去問が掲載されています。多くの過去問集が分野別になっているのに対して、本書は年度別になっているので、(裁断せず)本試験と同じような並びで問題を解けるようになっています。個人的にもっともおすすめなのが本書です。たとえば、安衛法などで規則の細かいところを聞いてくる問題があっても、「これは捨ててよい問題」のように判断したり、本試験ではどのように解いていくか、模試等を使わずに戦術を立てられるようになるからです。
他のシリーズを使っている方も、直前期は本書を使って慣れておくのをおすすめします。
「出る順社労士」シリーズ
LECの「出る順」シリーズは、問題集が2種類あります。
- 一問一答過去10年問題集(全4冊)
- 必修過去問題集(全2冊)
『一問一答過去10年問題集』は、一問一答の過去問です。LECの講座で配布される問題集も、サイズ等は本書とは違いますが、内容は同じ10年分の一問一答です。『必修過去問題集』は、10年分の過去問を項目ごとに分類したものです。過去問としては、スタンダードなものといえるでしょう。
「出る順」シリーズの問題集は、どちらも過去問をベースにしており、オリジナル問題などは収録していないのがポイントです。過去問に集中したい方におすすめです。私も過去問集は、本シリーズの『必修過去問題集』を選びました。
よくわかる社労士 合格するための過去10年本試験問題集
TACの「よくわかる」シリーズの問題集です。10年分の過去問が一問一答形式で収録されています。特徴としては、直前の年度の問題は、「最新問題」として、各分野の最初にまとめられている点です。このことから、初年度だけでなく、2年目以降の受験生も意識していることがわかります。
また、問題は直近5年のものとそうでないもの、基礎の問題と難問などマークがついているので、「最初は直近5年の問題を解く」「難問は解かない」といった使い方もできるようになっています。ただ、できればこうした振り分けは、本試験形式の問題を見て自分でできるようになるのがベストです。
「よくわかる社労士」シリーズを使っている方は、本書を選ぶとよいでしょう。
まとめ
社労士試験の問題集は各社から発売されています。過去問演習をし、わからないところは基本書に戻るのは当然のうえで、問われていない周辺部分も押さえるようにすると、やみくもに多くの問題に手を広げなくても対応できるようになります。知識を点で押さえるのは個人的にはおすすめしません。
次回の本試験、十分なインプットとアウトプットをして臨みましょう。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。