社会保険に関する一般常識から確定給付企業年金法について学習します。社一にかけられる時間は限られているので、まずは、確定給付企業年金がどのようなものか全体像をみていきましょう。
目次
第1章 総則
目的
確定給付企業年金法は、高齢期において確定した給付が受けられる企業年金について定めた法律です。国民年金が1階、厚生年金が2階、ここまでが公的年金の給付です。そして、 は3階の部分にあたります。これらは公的なものではないため、「自主的な努力」という文言が使われています。
定義
「確定給付企業年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、実施する年金制度をいう(2条1項)。
「厚生年金適用事業所」とは、厚生年金保険法の適用事業所及び認可を受けた適用事業所をいう(2条2項)。
「厚生年金保険の被保険者」とは、厚生年金保険の被保険者(第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者に限る。)をいう(2条3項)。
「企業年金基金」とは、前条の目的を達成するため、確定給付企業年金の加入者に必要な給付を行うことを目的として、設立された社団をいう(2条4項)。
確定給付企業年金は、いわゆる「DB」(Defined Benefit Plan)と呼ばれるものです。試験対策としてDBという名称を覚える必要はありませんが、名称を聞いたことがある方は、確定給付企業年金のことを意味しているのだと考えましょう。
第2章 確定給付企業年金の開始
確定給付企業年金の実施
厚生年金適用事業所の事業主は、確定給付企業年金を実施しようとするときは、確定給付企業年金を実施しようとする厚生年金適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合がないときは当該厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者の同意を得て、確定給付企業年金に係る規約を作成し、次の各号のいずれかに掲げる手続を執らなければならない(3条1項)。
① 当該規約について厚生労働大臣の承認を受けること。
② 企業年金基金の設立について厚生労働大臣の認可を受けること。
第3章 加入者
加入者
第4章 給付
給付の種類
事業主は、次に掲げる給付を行うものとする(29条1項)。
① 老齢給付金
② 脱退一時金
事業主等は、規約で定めるところにより、前項各号に掲げる給付に加え、次に掲げる給付を行うことができる(29条2項)。
① 障害給付金
② 遺族給付金
確定給付企業年金は、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにするため、老齢給付金は必ず行います。また、その受給要件を満たさなかった方のための脱退一時金も行います。そして、規約で定めることにより、障害給付金や遺族給付金も行うことができます。
受給要件
給付の額
年金給付の支給期間等
支給要件
老齢給付金は、加入者又は加入者であった者が、規約で定める老齢給付金を受けるための要件を満たすこととなったときに、その者に支給するものとする(36条1項)。
規約で定める要件は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない(36条2項、政令28条)。
① 60歳以上70歳以下の規約で定める年齢に達したときに支給するものであること。
② 政令で定める年齢[50歳]以上規約で定める年齢未満の規約で定める年齢に達した日以後に実施事業所に使用されなくなったときに支給するものであること。
規約において、20年を超える加入者期間を老齢給付金の給付を受けるための要件として定めてはならない(36条4項)。
老齢給付金は、規約で定める老齢給付金を受けるための要件を満たすこととなったときに、支給します。確定給付企業年金は、国民の高齢期における所得の確保をするため、年齢は60歳以上70歳以下の年齢に達したときに支給するものでなければなりません。また、その前に仕事をやめる場合も考えられるため、50歳以上規約で定める年齢以後に支給されるものでなければなりません。
支給の方法
老齢給付金は、年金として支給する(38条1項)。
老齢給付金は、規約でその全部又は一部を一時金として支給することができることを定めた場合には、政令で定める基準に従い、一時金として支給することができる(38条2項)。
支給停止
失権
① 老齢給付金の受給権者が死亡したとき。
② 老齢給付金の支給期間が終了したとき。
③ 老齢給付金の全部を一時金として支給されたとき。
第5章 掛金
掛金
事業主は、給付に関する事業に要する費用に充てるため、規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出しなければならない(55条1項)。
加入者は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、掛金の一部を負担することができる(55条2項)。
掛金は、事業主が拠出し、加入者は、掛金の一部を負担することができます。
掛金の額の基準
財政再計算
第6章 積立金の積立及び運用
積立金の積立て
積立金の額
第7章 行為準則
※省略
第8章 確定給付企業年金間の移行等
他の確定給付企業年金への脱退一時金相当額の移換
確定給付企業年金の中途脱退者は、他の確定給付企業年金に移換を申し出ることができます。
第9章 確定給付企業年金と確定拠出年金との間の移行等
確定給付企業年金から確定拠出年金への脱退一時金相当額の移換
確定給付企業年金の中途脱退者は、他の確定拠出年金に移換を申し出ることができます。確定拠出年金法については、次回学習します。
第10章 確定給付企業年金の終了及び清算
※省略
第11章 企業年金連合会
連合会
事業主等は、確定給付企業年金の中途脱退者及び終了制度加入者等に係る老齢給付金の支給を共同して行うとともに、積立金の移換を円滑に行うため、企業年金連合会を設立することができる(91条の2第1項)。
連合会は、全国を通じて1個とする(91条の2第2項)。
発起人
連合会の業務
① 脱退一時金相当額の移換を受け、中途脱退者又はその遺族について老齢給付金又は遺族給付金の支給を行うこと。
② 残余財産の移換を受け、終了制度加入者等又はその遺族について老齢給付金又は遺族給付金の支給を行うこと。
第12章 確定給付企業年金についての税制上の措置
※省略
第13章 雑則
※省略
第14章 罰則
※省略