厚生年金保険法の経過的寡婦加算について学習します。妻が65歳から老齢基礎年金を受給することになった場合、昭和61年4月前に公的年金の加入期間を有していなければ、老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算の額よりも低くなってしまいます。そこで、経過的寡婦加算が行われます。
日本年金機構の解説を引用します。
昭和61年4月1日において30歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)の人が、60歳までの国民年金に加入可能な期間をすべて加入した場合の老齢基礎年金の額に相当する額と合算して、ちょうど中高齢寡婦加算の額となるよう、生年月日に応じて設定されています。
ここで、なぜ昭和61年4月1日において30歳以上であるか補足します。まず、中高齢寡婦加算は、原則として、遺族基礎年金(780,900円)の4分の3が支給されます。次に、老齢基礎年金は、保険料納付済期間が20歳から60歳までの月数である480月(40年分)あると、780,900円支給されます。
経過的寡婦加算は、中高齢寡婦加算と老齢基礎年金の差額を補うものなので、最大で30年分を補うことができればよいということになります。そのため、60歳まで残り30年ある「30歳以上」が対象とされています。たとえば、昭和61年4月1日において35歳の方は、最大で25年分までしか保険料納付済期間を増やすことができず、65歳以降、中高齢寡婦加算と老齢基礎年金の差額が5年分生まれることになります。その差を埋めるのが経過的寡婦加算です。
仮に、昭和61年4月1日において25歳の方は、最大で35年分まで保険料納付済期間を増やすことができるので、中高齢寡婦加算より多くの額の老齢基礎年金が期待できるため、経過的寡婦加算の対象外となります。
なお、障害基礎年金の受給権も同時に有しているとき(ただし、支給停止になっている場合は除く)は、経過的寡婦加算は支給停止となります。

試験対策として、細かい金額ではなく、中高齢寡婦加算の額になるよう、生年月日に応じて設定されているという大枠をおさえましょう。
経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金の受給権を有し、当該障害基礎年金の支給がされているときは、その間、経過的寡婦加算は支給が停止される。(令5-4-オ)
正誤:◯
昭和32年4月1日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が65歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。(令3-1-B)
正誤:☓
経過的寡婦加算が加算されるのは、昭和30年4月1日以前に生まれた方が対象です。
