数字は、文章に説得力を持たせます。「多くの人が」と書くより、「9割の人が」と書いたほうが、強く伝わります。だからこそ、私は、出典のない数字を文章に書かないと決めています。
出典のない数字が生まれる場面
出典のない数字は、悪意がなくても入り込みます。よくあるのは、次のような場面です。
- どこかで読んだ数字を、出典を確かめずに書く
- 自分の感覚を、「ほとんど」「約9割」などの数字らしい言葉で書く
- これから起きることの見込みを、すでに起きたことのように書く
3つ目は、とくに気づきにくい点です。たとえば「この変更で費用はほぼ0円になります」と書くと、実際に測る前なのに、結果が出たように読めてしまいます。
決まり1:自分で測った数字か、公式の出典がある数字だけを書く
数字を書くときは、自分で測ったものか、公式の資料に出ているものだけを使います。自分で測った数字なら、何を、どう測ったのかを添えます。公式の資料の数字なら、その資料へのリンクを添えます。
たとえば、画像の容量を減らした話を書くときは、「◯KBから◯KBになりました(ファイルの容量を実測)」のように、数字と測り方を一緒に書きます。読者は、その数字がどこから来たのかを確かめられます。
決まり2:見込みは、見込みだと書く
まだ測っていない数字をどうしても書くときは、文の中で「見込み(測っていない)」と書きます。そして、測った数字と同じ段落に混ぜません。測った数字と見込みが並んでいると、読者はどちらも同じ確かさだと受け取ってしまうからです。
決まり3:変わる数字には、いつ時点かを添える
料金や制度の金額は、後から変わります。そうした数字には、いつ時点のものかが分かるようにします。読者が古い数字を今の数字だと思い込まないためです。
決まり4:数字らしい言葉で、ごまかさない
「ほとんどの人」「大多数」「約半分」といった言葉も、読者は数字として受け取ります。数字の根拠がないときは、こうした言葉も使わず、「〜という人もいます」のように、分かっている範囲で書きます。
数字を控えると、何が起きるか
出典のない数字を書かないと、文章は少し控えめになります。強い数字で引きつける書き方に比べると、地味に見えるかもしれません。
それでも、書いてある数字がすべて確かめられる文章は、読者にとって安心して使える文章です。依頼を受けて記事やレポートを書くときも、私は同じ決まりで書いています。依頼者が、その数字をもとに判断することになるからです。
まとめ
数字は、自分で測ったものか公式の出典があるものだけを書き、どこから来た数字かを添えます。見込みは見込みと書いて測った数字と混ぜず、変わる数字にはいつ時点かを添えます。数字らしい言葉でごまかすこともしません。

