行政書士会から日本行政書士連合会に進達があると、書類精査などが行われます。普通に申請している方にとっては、まったく問題はありません(補正があれば連絡があります)。
ただ、私のように住民票(東京都)と生活している場所(沖縄県)に距離があると、「なぜなのか?」などの理由を伝えなければなりません。そして、これがけっこう負担になるものでした。
誤解のないように書いておくと、日本行政書士連合会に非があるわけではありません。もちろん、私がいけないわけでもありません。生活には人それぞれ事情があります。また、行政が監督(行政書士なら総務省)に入っていると、どうしても時代が遅れてしまうのは仕方ないのも理解しています。
という前提で、似た境遇の方の参考になればと思って、書き進めたいと思います。
沖縄県での生活実態について
まずは「沖縄県での生活実態」について質問がありました。たとえば、埼玉県に住んでいて、東京都に事務所をかまえるくらいだったら、それほど珍しくないのだと思います。実際、文字通りベッドタウンに住んでいて、働くのは都心部というのはよくある話です。
しかし、これが東京都と沖縄県となると話は別です。
私が登録したのは、ちょうどコロナの影響もあって「リモートワーク」や「テレワーク」という言葉が世間に浸透している頃でしたが、実際にこれを理解してもらうのはなかなか大変なものです。
とりあえず、沖縄県で用意した賃貸物件の「賃貸借契約書」を提出することで、生活実態は認めてもらうことはできました。
住民票を移動しない理由について
次は、沖縄県内に生活実態があるのはわかったけれど、「では、なぜ住民票を移動しないのか」です。たしかに、私は沖縄が好きでやってきました。沖縄が大好きだけれど、東京が嫌いなわけでもないし、反対に沖縄に住民票を移すこれといった理由もありませんでした。
しかし、質問に対して質問に返すのは考えものです。
間に入っていただいた沖縄県行政書士会の方が親身に相談に乗ってくれて(「これといった理由がないのですがどうすれば良いでしょうか」という相談をしました)、理由書をつくることにしました。
理由の詳細についてはあえて書くことはしませんが、「業務に弊害が生じないようにする」ということを伝えればよいと思います。そもそも、行政書士法も「事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会を経由して、登録の申請をしなければならない」(第6条の2第1項)と規定しているので、問題はなさそうです。
ただ、あまりごちゃごちゃ言って、「行政書士の信用又は品位を害するおそれがある者その他行政書士の職責に照らし行政書士としての適格性を欠く者」(同条2項2号)認定されてしまうのも…なので、あくまで穏やかに対応しましょう。
理由書を沖縄県行政書士会経由で提出し、半月ほどで「登録通知」の連絡をいただきました。
自分と似た境遇の方へ
私はこの記事を通して、日本行政書士連合会にクレームはありません。法律を変えたい方は、そういう仕事に就けばよいですし、書士として活動したい方は粛々とこなせばよいと考えているからです。
そして、自分と似た境遇(たとえば同じように現住所と事務所が遠いなど)の方のために書きます。
行政書士登録をしたい熱量と修正などの対応をするストレスを比べて、前者が上回るならぜひ登録できるよう努めるのをおすすめします。ただ、もし後者が上回るなら、登録を取り下げるというのもひとつの手段だと思っています(私自身、違う方向に舵を切ろうとしていました)。
最後に、多様性を理解したうえで、「普通」がいちばんです。
私も、次に別の士業に登録するときは、それまでに住民票を移すなど普通にしようと思っています。