はじめに、憲法は、11章、103条で構成されています。
- 第1章 天皇
- 第2章 戦争の放棄
- 第3章 国民の権利及び義務
- 第4章 国会
- 第5章 内閣
- 第6章 司法
- 第7章 財政
- 第8章 地方自治
- 第9章 改正
- 第10章 最高法規
- 第11章 補則
行政書士試験で憲法の学習を始めるとき、基本書によっては総論のあとに人権から始まるものもあれば(出る順、合格る、みん欲し)、条文に合わせて天皇から始まるものもあります(合格革命など)。どちらで学習してもかまいませんが、条文についてはぜひ押さえておくのをおすすめします。
憲法に限ったことではありませんが、基本書でなんとなくの内容はわかった、判例も覚えてきた、けれど過去問を解いてみると、条文レベルの問題が解けなかったという経験がある方も多いと思います。私もそのひとりでした。基本書の解説部分を押さえることも大切ですが、本試験は条文、そして判例知識が問われるため、どこが条文なのかを知っておくのはなにより重要なのだと思っています。
そこで、ここでは、条文の流れに沿って記述します。また、そうすることによって、どの基本書を使っている方でも条文ベースで調べやすいということも意図しています。
ということで、今回は「第1章 天皇」について見ていきましょう。
本試験対策でいうと、天皇の国事行為(7条)が出題されます。
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
1条は、主権が国民であることを宣言しています。
第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第4条 ① 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
② 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第5条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。
第6条 ① 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
② 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2 国会を召集すること。
3 衆議院を解散すること。
4 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7 栄典を授与すること。
8 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9 外国の大使及び公使を接受すること。
10 儀式を行ふこと。
天皇の国事行為は、本試験でも頻出の内容です。まず、憲法改正や法律、政令、条約の公布をすること、そして、官吏(いわゆる役人)の任免等の認証をすること、大赦(刑を許すこと)等の認証をすることを押さえます。あとは、余裕があれば、国会の召集や衆議院の解散なども押さえておくと、心強いと思います(このあたりは中等教育で学習したことがある方も多いはずです)。
第8条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。