【会社法】組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付について、概要のまとめ

商法・会社法
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会社法の組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付について学習します。今回は、いわゆる組織再編と呼ばれるものです。本試験対策としては、大きな概要をみておきましょう。

会社法>組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付

第1章 組織変更

組織変更計画の作成

会社は、組織変更をすることができる。この場合においては、組織変更計画を作成しなければならない(743条)。

組織変更とは、株式会社が持分会社になること、持分会社が株式会社になることをいいます。そのため、第1章「組織変更」は、第1節で組織変更に共通することを「通則」として規定し、第2節と第3節でそれぞれ株式会社、持分会社の組織変更の方法について規定しています。

  • 第1節 通則
  • 第2節 株式会社の組織変更
  • 第3節 持分会社の組織変更

ここでは、株式会社から持分会社に組織変更をすることを例に概要をみていきましょう。

株式会社の組織変更計画

株式会社が組織変更をする場合には、当該株式会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない(744条1項)。
① 組織変更後の持分会社が合名会社、合資会社又は合同会社のいずれであるかの別
② 組織変更後持分会社の目的、商号及び本店の所在地
(※以下省略)

株式会社が組織変更をするときは、組織変更計画において、どのような持分会社にするのかを定める必要があります。

株式会社の組織変更の効力の発生等

組織変更をする株式会社は、効力発生日に、持分会社となる(745条1項)。

第2章 合併

合併契約の締結

会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない(748条)。

会社は、他の会社と合併をすることができます。合併は、A社(消滅会社)がB社(存続会社)に合併される吸収合併と、A1社とA2社が合併して新たにB社を設立する新設合併があります。

先ほどと同じように、条文も第1節を「通則」として、第2節では吸収合併、第3節では新設合併について規定しています。さらに、各合併の中で款を分けて、「株式会社が存続する吸収合併」と「持分会社が存続する吸収合併」について規定しています。

  • 第1節 通則
  • 第2節 吸収合併
  • 第3節 新設合併

ここでは、株式会社が存続する吸収合併を例に概要をみてみましょう。

株式会社が存続する吸収合併契約

会社が吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する会社(吸収合併存続会社)が株式会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない(749条1項)。
※省略

株式会社が存続する吸収合併の効力の発生等

吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する(750条1項)。

吸収合併では、B社はA社の権利義務を承継します。自然人の相続と同じように考えることができます。

第3章 会社分割

吸収分割契約の締結

会社(株式会社又は合同会社に限る。)は、吸収分割をすることができる。この場合においては、当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社(吸収分割承継会社)との間で、吸収分割契約を締結しなければならない(757条)。

会社は吸収分割をすることができます。先ほどの吸収合併は、A社がB社に吸収されるというものでした。吸収分割は、A社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部をB社に承継させます。

また、新設合併は、A1社とA2社が合併してB社を設立するというものでした。新設分割は、A1社とA2社の事業の全部または一部を分割させてB社を設立させます。

括弧書きで「株式会社又は合同会社に限る。」となっているのは、合名会社や合資会社のように無限責任の会社の事業を分割することはできないからです。たとえば、本来、無限責任であるべきところを有限責任の会社に承継させ責任を負わないというのは不合理であることを考えると理解しやすいと思います。もっとも、権利義務を承継する会社(承継吸収分割承継会社)は、無限責任であっても問題ありません。有限責任の会社の事業の一部を無限責任会社が承継することはできるということです。

吸収分割を例に同じように概要をみていきましょう。

株式会社に権利義務を承継させる吸収分割契約

会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が株式会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない(758条)。
※省略

吸収分割契約では、どのような事業を承継させるかなどの事項を定めます。

株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等

吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する(759条1項)。

第4章 株式交換及び株式移転

株式交換契約の締結

株式会社は、株式交換をすることができる。この場合においては、当該株式会社の発行済株式の全部を取得する会社(株式会社又は合同会社に限る。)との間で、株式交換契約を締結しなければならない(767条)。

株式交換とは、A社の株式の全部をB社に取得させ、親子関係をつくることをいいます。また、株式移転とは、A社の株式の全部を、新たに設立するB社に取得させ、親子関係をつくることをいいます。

合併や分割も、吸収合併と吸収分割といった吸収型、新設合併と新設分割といった新設型がありました。株式交換と株式移転も同じように考えることができます。

株式会社に発行済株式を取得させる株式交換の効力の発生等

株式交換完全親株式会社は、効力発生日に、株式交換完全子会社の発行済株式の全部を取得する(769条1項)。

第4章の2 株式交付

株式交付計画の作成

株式会社は、株式交付をすることができる。この場合においては、株式交付計画を作成しなければならない(774条の2)。

株式交付は、A社を子会社とするために、B社がA社の株主から株式を譲り受け、その対価としてB社の株式を渡すものです。大切なのは、A社は株式交付には関わっていない点です。そのため、A社とB社が存在するにもかかわらず、株式交付「契約」ではなく、「計画」という言葉が使われています。

なお、基本書では、A社とB社が逆になっているものもありますが、組織再編は、吸収される会社、分割される会社、子会社になる会社をA社に統一した方が理解しやすいため、ここでは統一しています。

第5章 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付の手続

第5章では、組織再編についての各手続が規定されています。

全体としては、組織変更、吸収合併等、新設合併等、株式交付に分けられています。

  • 第1節 組織変更の手続
  • 第2節 吸収合併等の手続
  • 第3節 新設合併等の手続
  • 第4節 株式交付の手続

そして、吸収合併の中でA社とB社ごとに手続が規定されています。

  • 第1款 吸収合併消滅会社、吸収分割会社及び株式交換完全子会社の手続
  • 第2款 吸収合併存続会社、吸収分割承継会社及び株式交換完全親会社の手続

同じように、新設合併等の手続の中でA社とB社ごとに手続が規定されています。

  • 第1款 新設合併消滅会社、新設分割会社及び株式移転完全子会社の手続
  • 第2款 新設合併設立会社、新設分割設立会社及び株式移転設立完全親会社の手続

これらの中で、各手続が規定されています。「吸収合併消滅会社、吸収分割会社及び株式交換完全子会社の手続」を例に概要をみてみましょう。

  • 吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等
  • 吸収合併契約等の承認等
  • 吸収合併等をやめることの請求
  • 反対株主の株式買取請求
  • 債権者の異議

組織再編をするときは、事前に書面等の備置き及び閲覧等が必要になります。そして、組織再編をするときは、株主総会で承認等が必要になります。また、組織再編をやめることの請求や反対株主は株式買取請求ができるようになっています。債権者は、組織再編に異議を述べることができます。

まとめ

本試験対策として、組織再編を網羅することは難しいので、組織変更、合併、会社分割、株式交換と株式移転、株式交付がどのようなものか概要をおさえておきましょう。このとき、吸収型と新設型に分けて考えるのがポイントです。先ほどみたように、条文の構造もそうなっているからです。

また、組織再編をするにあたり、書面の備置や閲覧、承認が必要になること、反対株主は株式買取請求ができること、債権者は異議を述べることができるといった概要をおさえておきましょう。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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