記述式問題の解法や必要な知識について、令和6年度の記述式問題を題材にして学習します。
問題44 行政法
まず、何が問われているか確認しましょう。ここでは、「誰を被告として」「どのような処分に対する取消訴訟を提起できるか」答えることがわかります。
それでは、問題文を読んでみましょう。
本問は、放送局免許拒否処分の判例が題材となっています。もっとも今回は、誰を被告とするのか、どのような処分に対する取消訴訟を提起するのかなので、問題はシンプルになっています。
まず、処分の取消しの訴えは、当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起します(行訴法11条1項1号)。
本問では、処分をした行政庁は総務大臣Yなので、「国」を被告として取消訴訟を提起します。
次に、どのような処分に対して取消訴訟を提起するか、判例は、「Xに対する拒否処分とAに対する免許付与は、表裏の関係にあるものである」、つまり、Aの免許が取り消されて白紙の状態に立ち返れば、Xが選ばれる可能性もあるため、「Xは自己に対する拒否処分の取消しを訴求しうるほか、共願者に対する免許処分の取消しをも訴求しうる」としています(最判昭43.12.24)。
このことから、本問では、「免許処分」「拒否処分」のいずれかに対する取消訴訟を提起できるといったことを答えます。
例:国を被告として、免許処分又は拒否処分のいずれかに対する取消訴訟を提起できる。(38字)
問題45 民法
まず、何が問われているか確認しましょう。「Aは、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるか」となっています。
続いて、問題文を読んでいきましょう。
本問では、売買代金を確保することから担保権がテーマになっていることがわかります。
民法上の担保権は、大きく4つありました。
- 留置権
- 先取特権
- 質権
- 抵当権
※非典型担保は除いています。
今回は、このうち先取特権が対象となります。もし、どうして先取特権になるのかということがわからなかった方は、どの担保権がどのような役割があるのか整理してみましょう。
次に、先取特権は、3つに分けられます。
- 一般の先取特権
- 動産の先取特権
- 不動産の先取特権
今回は、コーヒー豆の売買代金なので、動産の先取特権です。ここで、先取特権に種類があることがわからなかった場合は、それぞれの先取特権がどのようになっているのかを整理しましょう。
このことから、本問では、「免許処分」「拒否処分」のいずれかに対する取消訴訟を提起できるといったことを答えます。
最後に、問題形式に沿って記述しましょう。
例:Aは、動産売買の先取特権に基づき、一般債権者に優先して売買代金を確保することができる。(45文字)
問題46 民法
本問は、「何のために、誰の誰に対するいかなる権利を、どのように行使できるか」答えることがわかります。
それでは、問題文を読んでいきましょう。
所有権は、CからB、BからAに移転していますが、所有権の登記名義はCのままになっています。所有権の移転登記は、CからAに中間を省略して登記することは原則として認められていないので、まずは、CからBへの所有権移転登記をしてもらうことが必要になります。
ここで出てくるのが債権者代位権です。今回は登記請求権なので、423条の7を使いましょう。
債権者代位権は423条以下に規定されています。基本書だと要件が省略されていてわかりにくいという場合は、条文を読むのをおすすめします。
最後に、問題形式に沿って記述しましょう。
例:Aは、Bに対する登記請求権の保全のため、BのCに対する登記請求権を、Bに代位して行使する。(45文字)