民法の物権から総則について学習します。今回から第2編「物権」に入ります。物権は、全10章で構成されています。まずは、物権全体について定めている総則をみていきましょう。
- 第1章 総則
- 第2章 占有権
- 第3章 所有権
- 第4章 地上権
- 第5章 永小作権
- 第6章 地役権
- 第7章 留置権
- 第8章 先取特権
- 第9章 質権
- 第10章 抵当権
物権の創設
物権とは、物を直接的・排他的に支配する権利のことをいいます。物権は排他性があることから、1個の物には1個の物権しか成立しないことになります。これを一物一権主義といいます。試験対策として、用語が問われるわけではないので、物権は排他性がある点をおさえておきましょう。このように物権は強い権利のため、民法やその他の法律が定めるもののほか、創設することはできません。
物権の設定及び移転
物権の設定や移転は、当事者の意思表示だけで効力を生じます。たとえば、当事者の意思表示で所有権が移転するということです。
このあと、不動産に関する物権の変動の対抗要件(177条)、動産に関する物権の譲渡の対抗要件(178条)が続きますが、これらは別コンテンツとして制作します。
混同
原則として、ひとつの物について所有権と他の物権、たとえば地上権などが同一人に帰属したときは、他の物権は、消滅します。詳しくはこのあと学習しますが、所有権以外の物権は、使用・収益・処分の一部ができる制限物権のため、使用・収益・処分のすべてができる所有権と他の物権が同一人に帰属したときは、混同により消滅します。かんたんにいうと、所有権があればなんでもできるため、わざわざ他の物権を存在させておく必要がないということです。
ただし、その物または他の物権が第三者の権利の目的であるとき、たとえば、地上権に第三者の抵当権が設定されているときは、地上権が消滅すると第三者の利益を害することになるため、この限りでない、つまり、消滅しません。
物権については、学習を進める中でまだ学んでいない権利の名前などが出てきて、最初は理解が追いつかないことがあると思います。まずは、一周通して、全体像を把握したあと、徐々に理解を深めていくようにしましょう。