令和6年度の兵庫県知事問題について、「百条委員会」という言葉を耳にする機会が増えました。百条委員会は、地方自治法、つまり行政法の範囲です。また、基礎知識の一般知識(政治・経済・社会)は、その年の3月頃までにあった出来事から作問されることが多くあります。ここでは、お作法として、百条調査権及び百条委員会について見ていきましょう。
・普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる(地方自治法100条1項)。
→これは、議院が国政に関して調査を行う国政調査権に対応しているものです。議会は普通地方公共団体の事務に関する調査を行うことができます。これを百条調査権といいます。
百条調査権は、あくまで議会に付与されたものであり、委員会に付与されたものではありません。普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができます(109条1項)。そして、議会から委任を受けた特別委員会が事件を審査します(109条4項)。これが百条委員会です。
せっかくなので、兵庫県の場合を見てみましょう。兵庫県のWebサイトに「兵庫県法規集」のリンクがあります。そこから「兵庫県議会委員会条例」を見ます。4条に「特別委員会の設置」がありました。
第4条 特別委員会は、必要がある場合において、議会の議決で置く。
2 特別委員会の委員の定数は、議会の議決で決める。
3 特別委員は、委員会に付議された事件が議会において審議されている間在任する。
ここで、必要がある場合において、議会の議決で特別委員会が置かれます。
・第1項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、6箇月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する(100条3項)。
ここまでで、地方自治法における百条調査権及び百条委員会について、把握することができました。
次に、基礎知識の一般知識対策として、百条調査が実施された事例をかんたんに見てみましょう。近年では、静岡県熱海市の大規模土石流を巡る責任、大阪府池田市の市長(当時)が府庁内に家庭用サウナを持ち込んだこと、東京都の豊洲移転問題などで行われています。これらの事例は、言われてみれば知っているものの、百条調査がされたかは曖昧な方も多いと思います(私もそうでした)。基礎知識は対策を立てるのが難しいところですが、近年で目立った事例については押さえておくようにしましょう。
参考:百条委員会とは 偽証に罰則、強い権限で疑惑調査 – 日本経済新聞