地方自治法の普通地方公共団体から条例及び規則について学習します。
まず、日本国憲法において、地方公共団体の条例制定権が認められています。
これを受けて、地方自治法では、条例の制定について定めています。
条例
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務[地域における事務等]に関し、条例を制定することができる(14条1項)。
普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない(14条2項)。
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(14条3項)。
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができます。憲法では、「法律」となっていましたが、地方自治法では「法令」といったように、法律だけでなく命令(規則)にも違反しないようにされています。
集団行進及び集団示威運動に関する条例が国の法令に違反するか争われた徳島市公安条例事件について、判例は、「条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない」としています(最判昭50.9.10)。
また、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができることから、普通地方公共団体によって条例に違いが出ることが考えられます。この点、地方公共団体が制定する売春取締に関する条例の合憲性が争われた事件について、判例は、「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあっても、所論のように地域差の故をもって違憲ということはできない。」としています(最判昭33.10.15)。
規則
普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる(15条1項)。
普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(15条2項)。
普通地方公共団体の長は、規則を制定することができます。地方公共団体が条例を制定し、地方公共団体の長が規則を制定するといった点をおさえておきましょう。
また、普通地方公共団体が定める条例は、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金までであるのに対し、普通地方公共団体の長が定める規則は、5万円以下の過料までとなっています。