地方自治法について学習します。地方自治法は、行政書士試験の行政法の分野から、例年3題出題されます。ただ、行政法の他の分野と比較して体系的に教わる機会も少なく、行政書士試験向けの基本書において、重要とされる論点のみを暗記させられている方も多いと思います。私自身もそうでした。
地方自治法は、約300条、枝番まで入れればこれよりはるかに多い条文があります。この木だけを見て、全体像を把握しないで本試験に臨むのは危険です。そこで、今回は、地方自治法の構成をみて、試験対策上、どこを学習すればよいか確認するところからはじめましょう。
地方自治法の全体像
地方自治法は全4編で構成されています。
- 第1編 総則
- 第2編 普通地方公共団体
- 第3編 特別地方公共団体
- 第4編 補則
このうち、行政書士試験で中心となるのは、第2編の普通地方公共団体です。基本書を読んだことがある方は、特別地方公共団体が別の編として構成されていることを初めて知ったという方もいると思います。そして、普通地方公共団体のうち、中心となるのは、議会や執行機関です。
参考:総務省|地方自治制度
総則
第1編「総則」は、4条で構成されています(章はありません。)。
日本国憲法は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」(憲法92条)としています。
地方自治の本旨とは、地方政治がその住民によって行われる住民自治、地方政治が国から独立した機関によって行われる団体自治があります。この地方自治の本旨に基づいて、地方自治法が定められています。1条をみると、地方公共団体の区分、地方公共団体の組織と運営など地方自治法で何が定められているかがわかります。
地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする(1条の3第1項)。
普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする(1条の3第2項)。
特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする(1条の3第3項)。
地方公共団体は、普通地方公共団体と特別地方公共団体をいいます。これが、地方自治法の第2編と第3編に対応していることがわかります。そして、普通地方公共団体は、都道府県と市町村になります。特別地方公共団体は特別区、いわゆる東京23区などになります。特別地方公共団体については、第3編のところでもう少し詳しく見ることにしましょう。
地方公共団体の休日は、条例で定める(4条の2第1項)。
前項の地方公共団体の休日は、次に掲げる日について定めるものとする(4条の2第2項)。
① 日曜日及び土曜日
② 国民の祝日に関する法律に規定する休日
③ 年末又は年始における日で条例で定めるもの
前項各号に掲げる日のほか、当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞつて記念することが定着している日で、当該地方公共団体の休日とすることについて広く国民の理解を得られるようなものは、第1項の地方公共団体の休日として定めることができる(4条の2第3項前段)。
3項の地方公共団体の休日について、たとえば、私がいる沖縄県では、6月23日が「慰霊の日」として休日となっています。
参考:「慰霊の日」のはじまり|沖縄県公文書館
参考:「慰霊の日」休日廃止問題|沖縄県公文書館