記述式問題の解法や必要な知識について、令和元年度の記述式問題を題材にして学習します。
問題44 行政法
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令和元年度行政書士試験 問題44
まず、何が問われているか確認しましょう。ここでは、「どのような者が」「どのような行動をとることができるか」「Yは、どのような対応をとるべきこととされているか」答えることがわかります。
それでは、問題文を読んでみましょう。
今回は、「行政手続法によれば」とあるので、行政手続法から選ぶ必要があります。
- 第1章 総則
- 第2章 申請に対する処分
- 第3章 不利益処分
- 第4章 行政指導
- 第4章の2 処分等の求め
- 第5章 届出
- 第6章 意見公募手続
- 第7章 補則
この中から処分や命令をしてもらいたいときは「処分等の命令」を選びます。
処分等の求めは、第4章の2ということで、あとから作られた章であることがわかります。処分等の求めは、平成26年改正時に作れられたものです。この問題が出題されたのが令和元年なので、改正から数年様子を見て満を持して出題されたことが考えられます。
この条文を元に、問題に合わせて解答をつくっていきましょう。
「どのような者が」は、「何人も」が当てはまります。「どのような行動をとることができるか」は、「当該処分又は行政指導をすることを求めることができる」ですが、本問に合わせて具体的に答えるなら、「命令を求めること」が入ります。そして、「Yは、どのような対応をとるべきこととされているか」は、非常口が設けられていないので、消防法の条文に則して答えると、「消防の活動に支障になると認める場合、必要な措置をなすべきことを命ずべきである」となりますが、長くなってしまうので、「必要な措置をなすべきことを命ずべきである」などとします。
例:何人も、命令を求めることができ、Yは、必要な措置をなすべきことを命ずべきである。(40字)
参考:総務省|行政手続法(行政管理局が所管する行政手続・行政不服申立てに関する法律等)|行政手続法の見直しの経緯など
問題45 民法
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令和元年度行政書士試験 問題45
まず、何が問われているか確認しましょう。「建替えと修繕等のそれぞれの場合について、前期共有者5名の間でどのようなことが必要か」となっています。
続いて、問題文を読んでいきましょう。
本問は、共有物が題材になっています。「修繕等については、「変更」や「保存行為」には該当しない」ということから、変更や管理の違いが理解できているかが問われていることがわかります。
まずは、変更について確認しましょう。
変更とは、共有物の性質や形状を変える行為をいいます。このことから、建替えは変更にあたり、他の共有者の同意が必要であることがわかります。
続いて、管理について確認しましょう。
管理とは、共有物に変更を加えるものではなく、共有物を利用・改良する行為をいいます。修繕等は、変更や保存行為には該当しないとあるので、管理に該当し、各共有者の持分の価格の過半数で決めることがわかります。
なお、本問では問われていませんが、保存行為について確認しておきましょう。
保存とは、共有物の現状を維持・保存する行為をいいます。たとえば、不法占有者に対する返還請求なども保存行為になります。
最後に、「建替えには」に続く形で記述しましょう。
例:他の共有者全員の同意が必要で、修繕等には、各共有者の持分の価格の過半数の同意が必要である。(45文字)
問題46 民法
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令和元年度行政書士試験 問題46
本問は、「A・B間の契約を何といい」「誰が誰に対してどのようなことをする必要があるか」答えることがわかります。本問は第三者のためにする契約が題材になりますが、行政書士試験の学習範囲を考慮すると、かなり難しいと思います。
それでは、問題文を読んでいきましょう。
本問で使う第三者のためにする契約について条文を確認しましょう。
契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する(537条1項)。
前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない(537条2項)。
第1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する(537条3項)。
第三者のためにする契約は、たとえば、生命保険の契約などがあげられます。保険契約により、当事者の一方(保険会社)が第三者(妻)に対してある給付(死亡保険金)をすることを約したときは、その第三者(妻)は、債務者(保険会社)に対して直接にその給付(死亡保険金)を請求する権利を有します。
そして、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生します。
本問だと、売買契約により当事者の一方(B)が第三者(C)に対してある給付(50万円を支払う)をすることを約したときは、その第三者(C)は、債務者(B)に対して直接にその給付を請求する権利を有します。
そして、Cの代金支払請求権は、Cが債務者(B)に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生します。
また、本問では問われていませんが、択一対策として、2項も確認しておきましょう。第三者のためにする契約は、成立の時に第三者が現に存しない場合または第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられません。たとえば、現に存しない胎児のために契約することができます。
民法は2問中1問が難しいことが多いため、難しい1問は部分点を狙っていく戦略が現実的ですが、この問題に関しては、部分点も難しいような気がします。問題45の難易度が低いため、そちらを完答するのが現実的かもしれません。
最後に、問題形式に沿って記述しましょう。
例:第三者のためにする契約といい、CがBに対して契約の利益を享受する意思を表示することが必要。(45文字)