特定遊興飲食店営業(読み方:とくてい ゆうきょう)営もうとする場合,営業所の所在地を管轄する公安委員会の許可を受ける必要があります。ここでは,特定遊興飲食店営業店を開業するための許可申請の流れについて解説します。
特定遊興飲食店営業の許可の全体像
特定遊興飲食店営業の全体像を見ておきましょう。
- 許可の基準を確認(欠格事由,営業所)
- 事前相談
- 書類準備
- 申請
- 検査
- 許可証の交付
特定遊興飲食店営業にとは
特定遊興飲食店営業とは,ナイトクラブなど,客に遊興をさせ,かつ,客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で,午前0時以降営業するものをいいます。
したがって,客に遊興をさせない,酒類を提供しない,午前0時以降営業しないなど,ひとつでも条件に当てはまらないものがあれば,特定遊興飲食店営業には該当しません。
特定遊興飲食店営業は,ナイトクラブやライブハウスなどが該当します。
「客に遊興をさせる」とは
特定遊興飲食店の規制対象となるのは,営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせる場合です。これには鑑賞型のサービスと参加型のサービスがあります。
- 鑑賞型:ショーや演奏の類を客に見聴きさせるもの
- 参加型:客に遊戯,ゲーム等を行わせるもの
具体的には次のような行為が「客に遊興をさせる」に当たります(以下「解釈運用基準」)。
- 不特定の客にショー,ダンス,演芸その他の興行等を見せる行為
- 不特定の客に歌手がその場で歌う歌,バンドの生演奏等を聴かせる行為
- 客にダンスをさせる場所を設けるとともに,音楽や照明の演出等を行い,不特定の客にダンスをさせる行為
- のど自慢大会等の遊戯,ゲーム,競技等に不特定の客を参加させる行為
- カラオケ装置を設けるとともに,不特定の客に歌うことを勧奨し,不特定の客の歌に合わせて照明の演出,合いの手等を行い,又は不特定の客の歌を褒めはやす行為
- バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに,客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
これに対して,次のような行為は「客に遊興をさせる」に当たりません。
- いわゆるカラオケボックスで不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為
- カラオケ装置を設けるとともに,不特定の客が自分から歌うことを要望した場合に,マイクや歌詞カードを手渡し,又はカラオケ装置を作動させる行為
- いわゆるガールズバー,メイドカフェ等で,客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに,単に飲食物の提供のみを行う行為
- ボーリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為
- バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を行う場合を含む。)
「酒類を提供する」とは
「酒類を提供する」とは,酒類を飲用に適する状態に置くことをいいます。営業者が客に販売したり,贈与したりする場合に限らず,客が持参し,またはボトルキープの対象となっている酒類を提供したりする行為も「酒類を提供する」に当たります。
特定遊興飲食店営業許可の基準
特定遊興飲食店営業を開始するにあたり,許可の基準(経営者が欠格事由に該当していないか,営業所が構造や設備,営業区域に適合しているか)を確認します。
許可の基準:欠格事由
特定遊興飲食店営業の欠格事由に該当する場合,許可がされません。
以下,主な欠格事由をあげます。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ,又は風営法4条1項2号の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 集団的に,又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある者
- アルコール,麻薬,大麻,あへん又は覚醒剤の中毒者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業の許可を取り消され,5年を経過しない者
- 法人の役員のうちに上記の事項に該当する者がいるとき
許可の基準:営業所
特定遊興飲食店営業は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,構造や設備,営業区域に規制が設けられています。
構造・設備
営業所の構造又は設備が技術上の基準に適合するように維持する必要があります。
営業区域
営業所が,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして,児童福祉施設,病院,診療所の敷地の周囲50メートルの外にある必要があります。
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2022.11.04
沖縄県における風俗営業の営業区域の制限について
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特定遊興飲食店営業者の遵守事項
時間
特定遊興飲食店営業者は,沖縄県の全域において,午前5時から午前6時までの時間は営業できません。反対にいうと,午前6時から翌午前5時までは営業できます。
照度
特定遊興飲食店営業者は,営業所内の照度を,10ルクス以下にならないようにする必要があります。
騒音及び振動
特定遊興飲食店営業者は,営業所周辺において,条例で定める以下の騒音又は振動が生じないようにしなければなりません。
昼間 (6〜18時) |
夜間 (18〜24時) |
深夜 (24〜6時) |
|
第1種地域 | 45 | 40 | 40 |
住居地域 | 50 | 45 | 40 |
第4, 5, 6種地域 | 60 | 55 | 50 |
第7種地域 | 55 | 50 | 45 |
※数値の単位はデシベル(dB)です。
参考までに,40〜50デシベルは,静かなオフィス程度になります。
事前相談
営業所の所在地を管轄する警察署の警察安全課に事前相談をします。事前相談が必要なところなどもあるので,事前に確認しておくようにしましょう。
書類準備
特定遊興飲食店営業の許可申請に必要な書類を用意します。
- 許可申請書
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(賃貸契約書,登記事項証明書等)
- 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
- 申請者が個人である場合(住民票の写し,身分証明書,登記されていないことの証明書)
- 申請者が法人である場合(定款,登記事項証明書,役員についての5の書類,欠格事由に該当しないことを誓約する書面)
- 選任する管理者に係る5の書類,誠実に業務を行うことを誓約する書面,申請前6月以内に撮影した写真,無帽,正面,上三分身,無背景の縦の長さ3.0センチメートル,横の長さ2.4センチメートルの写真で,その裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの2枚
許可申請書に記載する事項
許可申請書には以下の内容を記載します。
- 氏名(法人の場合は名称,代表者の氏名)及び住所
- 営業所の名称及び所在地
- 営業所の構造及び設備の概要
- 管理者の氏名及び住所
- 法人の場合,役員の氏名及び住所
申請
許可申請手数料を支払い,申請します。
- 許可申請:24,000円
- 3か月以内の期間に限って営む営業:12,000円
検査
許可基準を満たしているかどうかの検査がされます。
許可証の交付
許可の場合,申請をした日から60日以内に許可証の交付がされます。許可証は営業所の見やすい場所に掲示しなければなりません。不許可の場合,不許可通知書が交付されます。