今回のテーマは、過疎化の進行による問題です。
それでは、実際に出題された問題を見てみましょう。
次の図4は、過疎市町村の面積が都道府県面積に占める割合、老年人口の増加率、老年人口に占める食料品へのアクセスが困難な人口の割合を示したものである。会話文の誤りを選ぶ問題です。このように、会話文から正誤を判断するものの場合、事前の知識が求められるものもありますが、図から読み取る力が求められるものもあります。
大都市には地方から労働力が集中する一方、地方は、生産年齢人口(15〜64歳)が流出して、過疎化が進んでいます。地域によっては、地域人口の50%以上が65歳以上の限界集落があるところもあります。
また、農山村地域では、移動が困難な高齢者のために、食料品を積んで集落を回る移動販売車があります。消費者庁では、移動スーパーを運営する「とくし丸」が紹介されています。
株式会社とくし丸(以下「とくし丸」という。)は、近所のスーパーの閉店等、様々な理由で住んでいる地域での日常的な買物に困難を感じる消費者である「買物弱者」のため、消費者の自宅の玄関先まで行って商品を販売する「移動スーパー」を運営しています。また、とくし丸の移動スーパーは、消費者庁の「買い物支援を通じた見守り活動の実証事業(注1)」で、高齢者の見守り活動も一部地域で実施しています。
高齢化が進んでいるのは、地方だけではありません。大都市圏では、高度経済成長期に人口が増加し、1970年代には、大都市の周辺に多くのニュータウンが開発されました。たとえば、東京都には、都下に多摩ニュータウンというニュータウンがあります。1970年代にできたニュータウンに30代〜40代の子育て世代が流入してくるというのを考えると、その50年後にどうなるか想像できると思います。
今、若い方の中には、ニュータウンを選んだということについて、滑稽に感じる方もいるかもしれません。ただ、当時、多くの大人がこのような生活に憧れていたのは事実です。今、憧れるライフスタイルもまた、未来から見たら同じようになるかもしれないというのを考えると、世の中の流行に対してどのように考えればよいか、さまざまなことを学ぶことができそうです。
これらの情報を参考に問題を見てみましょう。
①、過疎は、三大都市圏よりも三大都市圏以外の地域で高い傾向があります。
②、三大都市圏における老年人口の増加傾向は、高齢者が流入してくるからではありません。一般的に、高齢になると変化を好まなくなり、慣れ親しんだ場所で生活をします。三大都市圏における老年人口の増加は、かつて流入してきた生産年齢人口の高齢化によるものです。
③、移動が困難な高齢者のために、食料品を積んで集落を回る移動販売車があります。
④、1970年代前後に開発された住宅地であるニュータウンには、かつての生産年齢人口であった高齢者が多くいます。