【地理】ジェントリフィケーションについて、インナーシティ問題から考える

地理

今回のテーマは、ジェントリフィケーションです。

それでは、実際に出題された問題を見てみましょう。

先進国の大都市内部の衰退地区において、専門的職業従事者などの経済的な豊かな人々の流入と地区の再生が進む現象は、ジェントリフィケーションという概念で説明される。次の図3は、ある先進国の大都市の中心業務地区付近の概要といくつかの指標を示したものである。ジェントリフィケーションがみられる地区として最も適当なものを、図3中の①〜④のうちから一つ選べ。

ジェントリフィケーションについては、問題文の中で示されました。ただ、これだけでは問題を解くのに不十分なので、もう少し深くみてみましょう。

先進国の大都市では、早くから市街地化された周辺地区で建物の老朽化などが進みました。その結果、富裕層は郊外に流出し、貧困層などが流入するようになりました。スラムが形成され、治安が悪化し、税収が減少し、これをインナーシティ問題といいます。そして、近年では、スラムを一掃し、再開発を進めて、富裕層が流入するといったジェントリフィケーションがみられるようになりました。

本問では、この背景を考えることが求められます。

まず、中心業務地区付近の概要をみると、線路に近い②が中心地区になります。その周辺なので、①や④あたりがジェントリフィケーションの対象といえそうです。

次に、右上の「2000年の居住者の貧困率」をみると、④は貧困率が高いですが、①は貧困率が高くありません。ジェントリフィケーションは、スラムが形成されたあとに一掃されるので、①は誤りであることがわかります。

続いて、左下の「大学を卒業している居住者の増減」をみると、①、④で高いことがわかります。一般的に経済力は学歴と比例することが多いので、③は誤りであることがわかります。

最後に、右下の「賃料の増減」をみると、①と④で賃料が40%以上増加していることがわかります。

以上のことから、以前はスラムが形成され、大卒者が多く、賃料が増加している、つまり、ジェントリフィケーションがみられる地区として最も適当であるのは、④といえます。

【今回わかったこと】

  • 大都市内部の衰退地区ではインナーシティ問題がある
  • 近年は、富裕層が流入するジェントリフィケーションがみられる

参考:

琉双舎

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