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今回から、雇用保険法の学習に入ります。
まず、雇用保険法の全体像を見てみましょう。
- 第1章 総則
- 第2章 適用事業等
- 第3章 失業等給付
- 第4章 雇用安定事業等
- 第5章 費用の負担
- 第6章 不服申立て及び訴訟
- 第7章 雑則
- 第8章 罰則
今回は、第1章の総則について解説します。
目的
雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする(1条)。
→目的条文に必要な給付の種類があげられています。
- 労働者が失業した場合
- 労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合
- 労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合
- 労働者が子を養育するための休業をした場合
以前は、雇用保険というと、いわゆる「失業保険」のような、どちらかというとネガティブなイメージがありましたが、失業時や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合の給付だけでなく、教育訓練や育児休業時にも給付対象が広がっていることがわかります。
また、目的としては以下のことがあげられています。
- 失業の予防
- 雇用状態の是正
- 雇用機会の増大
- 労働者の能力の開発及び向上
- 労働者の福祉の増進
労働者の能力の開発及び向上、現代では大人になってから学習するのは、少なくとも社労士を目指している方にとってはごく当たり前のことかもしれませんが、以前は大人になって学習するというのは、少し風変わりに見えていたのだと思います。

青木雄二『ナニワ金融道』(5巻)
たとえば、これは『ナニワ金融道』(1990)という作品に出てくる場面で、司法書士を志している新入社員に関する会話です。「32歳になってもまだ勉強に執念燃やすー」、今から約30年前は、このような価値観が一般的だったと思うと感慨深いです。
管掌
雇用保険は、政府が管掌する(2条1項)。
→労災保険と同じく、政府が管掌します。
雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる(2条2項)。
雇用保険事業
雇用保険は、目的を達成するため、失業等給付及び育児休業給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる(3条)。
→雇用保険が行うことがあげられています。
定義
この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であって、第6条各号に掲げる者以外のものをいう(4条1項)。
この法律において「離職」とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをいう(4条2項)。
この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう(4条3項)。
この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう(4条4項)。
雇用保険に関する事務をその事業所ごとに処理するとは、例えば、資格取得届、資格喪失届等を事業所ごとに作成し、これらの届出等は個々の事業所ごとにその事業所の所在地を管轄する安定所の長に提出すべきであるという趣旨である。したがって、現実の事務を行う場所が個々の事業所である必要はなく、例えば、本社において事業所ごとに書類を作成し、事業主自らの名をもって提出することは差し支えない。この場合には、各届書の事業所欄には必ず個々の事業所の所在地を記載し、事業主住所氏名欄には、その本社の所在地及び事業主の氏名を記載するものである(行政手引22001)。