【健康保険法】健康保険組合について、設立や役員、合併、分割などのまとめ

健康保険法
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健康保険法の保険者から健康保険組合について学習します。健康保険組合は、前回の協会との違いを意識しながら進めていきましょう。

健康保険法>保険者>健康保険組合

組織

健康保険組合は、適用事業所の事業主その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織する(8条)。

健康保険組合は、事業主、使用される被保険者、任意継続被保険者で組織します。

任意継続被保険者とは、適用事業所に使用されなくなったため、被保険者の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいいます(3条4項)。

任意継続被保険者について、詳しいことは後ほど見ていきましょう。

法人格

健康保険組合は、法人とする(9条1項)。

設立

1または2以上の適用事業所について常時政令で定める数[700人]以上の被保険者を使用する事業主は、当該1または2以上の適用事業所について、健康保険組合を設立することができる(11条1項、令1条の3第1項)。

適用事業所の事業主は、共同して健康保険組合を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数[3,000人]以上でなければならない(11条2項、令1条の3第2項)。

常時700人以上の被保険者を使用する事業主は、健康保険組合を設立することができます。反対にいうと、政令で定めた数未満の場合は、規模が小さいため、健康保険組合をつくることはできず、全国健康保険協会の被保険者となります。

適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(12条1項)。

適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意が必要になります。すでに協会に保険料を納付しているから変わらないのではといったことは考えず、新たに組合に保険料を納付するという義務が発生するため同意が必要になると考えましょう。

厚生労働大臣は、1または2以上の適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主に対し健康保険組合の設立命ずることができる(14条1項)。

前項の規定により健康保険組合の設立を命ぜられた事業主は、規約を作り、その設立について厚生労働大臣の認可を受けなければならない(14条2項)。

 

組合員

健康保険組合が設立された適用事業所(以下「設立事業所」という。)の事業主及びその設立事業所に使用される被保険者は、当該健康保険組合の組合員とする(17条1項)。

前項の被保険者は、当該設立事業所に使用されなくなったときであっても、任意継続被保険者であるときは、なお当該健康保険組合の組合員とする(17条2項)。

会社をやめても、任意継続被保険者になることを申し出れば組合員でいられるということです。

役員

健康保険組合に、役員として理事及び監事を置く(21条1項)。

理事の定数は、偶数とし、その半数は設立事業所の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する(21条2項)。

理事のうち1人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから理事が選挙する(21条3項)。

監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ1人選挙する(21条4項)。

役員の構成や決め方は、協会と異なります。たとえば、理事長は、協会は公法人なので、厚生労働大臣が任命します。一方、組合は事業所が設立するため、理事が選挙します。

また、理事は、協会は理事長が任命し、6人以内となっています。組合は偶数で、半数は事業主の選定した組合会議員、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員となっています。組合は、事業主と使用される被保険者で構成されるため、パワーバランスが等しくなるように偶数にして、それぞれから選ぶようになっています。

監事は、協会は、理事長と同じく厚生労働大臣が任命します。組合は、事業主の選定した組合会議員、被保険者の互選した組合会議員から、それぞれ1人を選挙します。

人数を丸暗記するというより、協会は公法人のため、厚生労働大臣が理事長を任命し、その任命を受けた理事長が理事を任命する、組合は自治から、選挙で決めることが多い、ただ、事業主側と使用される被保険者側が平等になるように配慮されているといった視点を持つと、理解記憶しやすいと思います。

合併

健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(23条1項)。

分割

健康保険組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(24条1項)。

設立事業所の増減

健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない(25条1項)。

合併やその反対の分割は、影響が大きいため組合会議員の定数の4分の3以上の多数の議決が必要ですが、設立事業所(健康保険組合が設立された適用事業所)の増減は影響が少ないため、被保険者の2分の1以上の同意が必要となります。

解散

健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する(26条1項)。

① 組合会議員の定数の4分の3以上の多数による組合会の議決
② 健康保険組合の事業の継続の不能
③ 解散の命令

健康保険組合は、解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(26条2項)。

協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する(26条4項)。

指定健康保険組合による健全化計画の作成

健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(以下この条及び次条において「指定健康保険組合」という。)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下この条において「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする(28条1項)。

指定健康保険組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない(28条2項)。

厚生労働大臣は、指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる(28条3項)。

指定健康保険組合は、健全化計画を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければなりません。かんたんにいうと、きちんと運営できていないため、厚生労働大臣がチェックするということです。

報告の徴収等

健康保険組合が命令に違反したとき、又は健全化計画の規定に違反した指定健康保険組合、健全化計画の変更の求めに応じない指定健康保険組合その他政令で定める指定健康保険組合の事業若しくは財産の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる(29条2項)。

参考:けんぽれん[健康保険組合連合会]

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。社会保険労務士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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