国民年金法の脱退一時金について学習します。脱退一時金は附則で定められています。そのため、後回しにしてもよいのですが、難易度が高くないため、他の給付と合わせて見ていきます。
日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給
当分の間、保険料納付済期間等の月数(請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の2に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数をいう。第3項において同じ。)が6月以上である日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る。)であって、第26条ただし書に該当するもの[保険料納付済期間等が10年に満たないもの]その他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない(附則9条の3の2第1項)。
① 日本国内に住所を有するとき。
② 障害基礎年金その他政令で定める給付の受給権を有したことがあるとき。
③ 最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき。
脱退一時金は、日本国籍を有しない者が納付した保険料が掛け捨てにならないように、支給されるものです。このことから、保険料納付済期間等が10年以上ある者は、年金が受けられるので、対象となりません。また、受給権を有したことがあるときも、掛け捨てになっていないので対象となりません。
保険料の一部免除期間の月数の計算方法は、死亡一時金と同じです。
前項の請求があったときは、その請求をした者に脱退一時金を支給する(附則9条の3の2第2項)。
脱退一時金の額は、基準月(請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間又は保険料4分の3免除期間のうち請求の日の前日までに当該期間の各月の保険料として納付された保険料に係る月のうち直近の月をいう。)の属する年度における保険料の額に2分の1を乗じて得た額に保険料納付済期間等の月数に応じて政令で定める数[6〜60]を乗じて得た額とする(附則9条の3の2第3項、政令14条の3の2)。
脱退一時金の額は、たとえば、基準月の属する年度における保険料の額×0.5(2分の1)×60のように計算します。政令で定める数まで暗記する必要性は低いですが、保険料納付済期間等の月数が60月ある場合は60を掛けるといったように、納付した保険料の約2分の1が返ってくるイメージをもつと、理解しやすいと思います。
もし、また日本で働くときは、保険料納付済期間が0になるということです。
審査請求に関してはあとで学習しますが、今のところは、脱退一時金に関する処分についても審査請求をすることができるという点をおさえておきましょう。