会社法の株式会社の機関から役員及び会計監査人の選任及び解任について学習します。第3節「役員及び会計監査人の選任及び解任」は、全3款で構成されています。
- 第1款 選任
- 第2款 解任
- 第3款 選任及び解任の手続に関する特則
各款では、各機関の資格や選任、任期について定めていますが、ここでそれらを横並びで覚えていくのは大変なので、各機関については、それぞれの機関で学習し、ここでは総論的な内容に絞ってみていきましょう。
第1款 選任
選任
まず、役員とは、取締役、会計参与及び監査役のことをいいます。会計監査人が役員に入っていないという点をおさえましょう。会計監査人は、あくまで会計に関するスペシャリストということを考えると記憶しやすいと思います。
次に、役員及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任します。この決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行われる点は普通決議と同じですが、出席した株主の議決権の定足数が「3分の1以上」という制限が加わっているのが特徴です。これは、役員の地位の重要性から、なるべく多数の株主の意思を反映させるべきであるという考えによるものです。司法書士試験では、条文番号まで記憶する必要はありませんが、通常の普通決議について定める309条1項とは違う条文が適用される点は忘れないようにしましょう。
役員の選任の決議をする場合には、補欠の役員を選任することができます。
株式会社と役員等との関係
株式会社と役員等は、民法で学習した「委任」に関する規定に従います。
cf. 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う(民法644条)。
このことから、役員等は、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います。つまり、善良な管理者の注意に欠くことがあれば、任務懈怠となり、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。
第2款 解任
解任
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる(339条1項)。
前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる(339条2項)。
役員等は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができます。この解任決議も、先ほどと同じです。
また、解任された者は、正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。役員等の任期に対する取締役の期待を保護することが目的です。
第3款 選任及び解任の手続に関する特則
役員の選任及び解任の株主総会の決議
先ほどから出てきている役員の選任と解任の決議について定めた条文です。通常の普通決議である309条1項の規定にかかわらず、役員の選任と解任については、3分の1以上の定足数が必要となることについて定めています。
役員等に欠員を生じた場合の措置
役員が欠けた場合、役員は、新たに選任された役員が就任するまで、権利義務を有します。たとえば、取締役が1人しかいない会社において、取締役が辞任した場合、辞任した取締役は、新たに選任された取締役が就任するまで、権利義務を負う、つまり、辞めることはできないということです。試験対策上、特に記述式問題で重要となる条文です。