民事訴訟法の総則について解説します。今回は民事訴訟法の最初なので、民事訴訟法の全体像、そして第1編の全体像についても見てみきましょう。
民事訴訟法の全体像
民事訴訟法は全8編で構成されています。
- 第1編 総則
- 第2編 第一審の訴訟手続
- 第3編 上訴
- 第4編 再審
- 第5編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則
- 第6編 少額訴訟に関する督促
- 第7編 督促手続
- 第8編 執行停止
こうしてみると、民事訴訟の全体像がよくわかります。
参考:民事訴訟 | 裁判所
第1編の全体像
民事訴訟法の「第1編 総則」は、全8章で構成されています。
- 第1章 通則
- 第2章 裁判所
- 第3章 当事者
- 第4章 訴訟費用
- 第5章 訴訟手続
- 第6章 訴えの提起前における証拠収集の処分等
- 第7章 電子情報処理組織による申立て等
- 第8章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿
第1編は、民事訴訟全体について定めています。裁判が始まるまでの全体像というイメージを持っておくとわかりやすいと思います。そして、第2編以降につながっていきます。
今回は、「第1編 総則」の中の「第1章 通則」について見ていきます。基本書などでは、民事訴訟法の目的などからはじまり、「眠りの民訴」と言われるだけあって眠気を誘うのが民訴法です。基本書を読んで理解したはずなのに過去問が全然解けない、「条文知識レベル」と突き放されるのに、今までの学習ではどこが条文なのか知らされずに来てしまった人の気持ち、痛いほどよくわかります。ここでは条文をベースに全体像を見ながら理解していきましょう。
裁判所及び当事者の責務
裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない(第2条)。
民事訴訟については、2条がわかりやすいです。裁判所は民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努めるため、たとえば、裁判官が当事者(原告や被告)の親族等であったときは、除斥といって除かれるようになっています。また、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならないため、たとえば、あのとき証拠を出せたはずなのにわざとあとから出した場合などは認めてもらえないことがあります。この価値判断を持っておくと、このあとの民事訴訟が理解しやすくなります。