広告の世界には、「読まない・信じない・行動しない」という、読み手の3つの壁を表す言葉があります。私はこれを少し変えて、「読まない・理解しない・信じない」の3つを、Webの文章を書くときの前提にしています。
前提を厳しく置くのは、読者を低く見ているからではありません。読者は、ほかにもやることがある中で、短い時間を割いてページを開いています。その時間の中で必要なことが伝わるように、書く側が手間をかけるという考え方です。
1つ目の壁:読まない
読者は、ページを上から順に読むとは限りません。見出しを拾い読みし、最初の数行で、読み続けるかどうかを決めます。
この壁に対しては、次のように書きます。
- 結論を先に書く
- 見出しに、その段落の結論を書く
- 1つの段落には、1つの話だけを書く
こうしておくと、見出しと各段落の1文目だけを読んだ人にも、要点が届きます。
2つ目の壁:理解しない
読んでもらえても、書き手の頭の中にある前提は、読者には見えません。専門用語や、書き手が当然だと思っている手順は、そのままでは伝わりません。
この壁に対しては、次のように書きます。
- 用語は、初めて出てきたところで、本文の中で説明する
- 1つの文には、1つのことだけを書く
- 文と文の関係は、「そのため」「ただし」などの接続詞で示す
とくに接続詞は大事です。前の文と次の文が「理由」なのか「例外」なのかを、読者に推測させずに済みます。
3つ目の壁:信じない
理解してもらえても、書いてあることを信じてもらえるとは限りません。根拠の分からない主張や、強い言葉は、かえって疑われます。
この壁に対しては、次のように書きます。
- 数字には、自分で測ったものか、公式の出典があるものだけを使う
- 「最強」「絶対」「必ず」など、言い切りやあおりの言葉を使わない
- 人から聞いた話は書かず、確かめられた事実だけを書く
強い言葉を使わないと、文章は控えめに見えるかもしれません。それでも、確かめられることだけが書いてある文章のほうが、最後には信じてもらえると考えています。
3つの壁は、書いた後の見直しにも使える
私は、書き終えた文章を、この3つの壁の順に見直しています。
まず、見出しと各段落の1文目だけを読んで、要点が伝わるかを確かめます。次に、説明していない用語や、2つのことが入った文がないかを探します。最後に、出典のない数字や、強すぎる言葉がないかを確かめます。
3つの観点に分けると、何となく読み返すよりも、直すべき箇所が見つかりやすくなります。
まとめ
「読まない」には結論と見出しで、「理解しない」には用語の説明と1文1つのことで、「信じない」には確かめられる根拠で対処します。3つの壁は、書くときの前提であると同時に、書いた後の見直しの順番にもなります。

