TAC出版の「みんなが欲しかった! 行政書士」(みん欲し)シリーズの各書について、特徴や使い方、メリット、デメリットまで解説します。
目次
- 「みんなが欲しかった! 行政書士」のシリーズ
- 『みんなが欲しかった! 行政書士 合格へのはじめの一歩』の特徴と使い方
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の教科書』の特徴と使い方
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の問題集』の特徴と使い方
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の最重要論点150』の特徴と使い方
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の判例集』の特徴と使い方
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の肢別問題集』の特徴と使い方
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集』
- 『みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集』の特徴と使い方
- 『本試験をあてる TAC直前予想模試 行政書士』の特徴と使い方
- 「みんなが欲しかった! 行政書士」のルートまとめ
「みんなが欲しかった! 行政書士」のシリーズ
「みんなが欲しかった! 行政書士」シリーズは、以下のものがあります。
- みんなが欲しかった! 行政書士 合格へのはじめの一歩
- みんなが欲しかった! 行政書士の教科書
- みんなが欲しかった! 行政書士の問題集
- みんなが欲しかった! 行政書士の最重要論点150
- みんなが欲しかった! 行政書士の判例集
- みんなが欲しかった! 行政書士の肢別問題集
- みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集
- みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集
- 本試験をあてる TAC直前予想模試 行政書士
「みんなが欲しかった! 行政書士」シリーズで初学者から合格レベルまで対応できるようになっています。ただ、こうして並べてみるといろいろな書籍が発売されていることがわかります(笑)。
「みんなが欲しかった!」(通称「みん欲し」)シリーズは、滝澤 ななみさんがイラストを手がけており、他の法律系の本と比べてとても見やすいのが特徴です。私も宅建を受けたときは本当に法律初学者だったので「みん欲し」を使って勉強をしました。その後、行政書士では法律の耐性が付いたことからもう少し固いものをと思い「合格革命」を選び、そのあと予備校教材(LEC)に変更しました。
『みんなが欲しかった! 行政書士 合格へのはじめの一歩』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士 合格へのはじめの一歩』は、前年度の本試験前(11月頃)に発売される入門書です。「オリエンテーション編」と「入門講義編」で行政書士試験の全体像をつかむことができます(前述の宅建と比較すると、行政書士試験は一気に「法律!」という感じがします)。
本書は、次年度の行政書士試験の受験を考えていて、基本書である「行政書士の教科書」が発売される前に学習を進めておきたい方におすすめです。「行政書士の教科書」は例年12月頃に発売されるので、それより前から学習を始めることで余裕を持った計画で本試験に臨めます。
『みんなが欲しかった! 行政書士の教科書』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士の教科書』は、「みん欲し」シリーズの根幹となる基本書です。4色のフルカラー、図表やイラストが多く、法律初学者がもっとも読みやすい基本書といえるでしょう。ただし、これは好みの問題ですが、「みん欲し」はカラーが強くイラストも個性的なので、シンプルを好む方は別のシリーズを使うのをおすすめします。
内容は、フルカラーでイラストが多いと「初学者向きで合格レベルに達するか心配…」という方もいるかもしれませんが、まったく問題はありません。「みん欲し」シリーズは、合格レベルに達します。
また、「みん欲し」シリーズは、TAC行政書士講座の講師が書籍専用のオリジナルWeb講義を展開する「行政書士 独学道場」に対応しているので、完全な独学本としてだけでなく、映像や音声を使って補強することも可能です。TAC行政書士講座と独学道場の違いについては、TAC行政書士講座はフル講義、独学道場はコンパクトな講義というように棲み分けがされています。
『みんなが欲しかった! 行政書士の問題集』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士の問題集』は、『みんなが欲しかった! 行政書士の教科書』に準拠した問題集です。過去問とオリジナル問題で構成されています。教科書と問題集は相互リンクされているので、わからなかったときもすぐに確認できるようになっています。
別のところにも書いていますが、このようなテキストに準拠した問題集は使わず、基本書と過去問だけでも良いと思います。ただ、あくまで個人的な考えなので、基本書と並行して問題集も解きたいという方は、過去問に入る前にこのような問題集を使うのも良いでしょう。
『みんなが欲しかった! 行政書士の最重要論点150』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士の最重要論点150』は、試験での出題頻度が高い重要論点のみをまとめた要点整理型テキスト(いわゆるまとめ本)です。試験合格に必要な知識(Aランク)を絞り込み、図表を中心にまとめてあります。
本シリーズは、発売される順番に紹介していますが、「みん欲し」シリーズは、けっこう早いタイミング(1月)でまとめ本が発売されます(他シリーズは3〜4月)。発売される時期は、まだインプットが終わっていない、または終わっていても血肉になっていない方がほとんどだと思います。なので、慌てて買わなくてよいので(買った方はそのままにして)、ひととおり理解できたあとの総まとめに使うとよいでしょう(理解できていないタイミングで使っても丸暗記になってしまって辛いと思います)。
まとめ本は、直前期に威力を発揮します。どのシリーズでもよいので(できたらテキストと同じシリーズだと文言や表などが統一されているので記憶しやすいと思います)、一冊用意して繰り返し読んでは唱え、過去問を解いて必要なことがあれば情報を一元化していくとよいでしょう。
『みんなが欲しかった! 行政書士の判例集』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士の判例集』は、判例学習を行うことを目的にした判例集です。
本書は、行政書士試験に出題される可能性のある重要判例を厳選して収録し、効果的な判例学習を行うことを意図とした判例集で、憲法・民法・行政法・商法の判例を収録しています。
各テーマを学習する上で必須の重要判例は判例のポイントとそれについての判旨も掲載した詳細な解説、その他の判例(関連判例)は結論のみの掲載と、メリハリをつけた学習が可能となっています。
さらには、重要判例ごとに、知識確認用の練習問題も掲載しています。
重要判例・関連判例ともに、本試験での出題実績を掲載していますので、過去問題集などの問題集を解いた後の復習にも役立ちます。
巻末には、判例検索の利便のため年月日索引と関連法令索引を掲載しています。
個人的には、行政書士試験に必要な判例は基本書(教科書)に載っているので、わざわざ別途用意する必要はないかなという印象があります。もちろん、補助教材として読み込みたいという方はこのような判例集を購入してもよいでしょう(判例を読むのも楽しいです)。
『みんなが欲しかった! 行政書士の肢別問題集』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士の肢別問題集』は、過去問題の選択肢をベースにして、重要度のランクを付け、体系的に並び替えた問題集です。いわゆる一問一答です。
一問一答はスピーディに学習することができるので、「過去問は一問一答派だ!」という方は、本書を選ぶとよいでしょう。ただ、すでに問題集を使っていたり、後述する過去問集を使っている方は、わざわざ手を広げる必要はないと思います。そういう意味で可処分時間が多い人におすすめです。
『みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集』
『みんなが欲しかった! 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集』は、記述式問題&多肢選択式問題の解法を知るための問題集です。本書は「基礎編」と「応用編」の2部構成になっています。
過去問題を素材に、「問題をみて」から「答えを完成」させるまでの思考過程を追いながら、
記述式問題の「正しい解法(解法マニュアル)」を徹底的にマスターすることを狙いにするとともに、マスターした「正しい解法」を過去問題&予想問題で確認できるようになっています。
各問題には詳細な解説があり、また解答を作成する際のキーワードを明示しているので、本書を繰り返し演習することで、記述式問題を得意分野とすることができます!
あわせて、過去問題を中心に、多肢選択式問題も掲載していますので、この1冊で記述式問題&多肢選択式問題の対策は万全です!
行政書士試験は、多くの受験生が記述式に不安を抱えています。予備校等を使っていない方は、過去問(多くは10年分)だけでは演習が不足してしまうので、このような問題集を使って演習をしましょう。また、問題をひたすら解いても「本番で解けるのか」不安になる方も多いと思います。本書では、解法が書かれているので、「どのように解くのか」を身につけましょう。
- 「問い」を正確に把握する
- 「問いの形」に合わせて「答えの形」をつくる
- 「答え」を完成させる知識を記憶喚起する
- 「問い」に呼応する「答え」をつくる
3の「記憶喚起する」部分は知識なので、基本のインプットが必要になります。1, 2, 4は記述式問題に求められる特有のスキルなので、本書を使って学習しましょう。記述式問題に苦手意識を持っている方は、各予備校の講座を受講するのもおすすめです(私も講座を活用しました)。
『みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集』の特徴と使い方
『みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集』は、5年分の本試験問題を年度別に収録した過去問題集です。TAC講師陣による解説があり、問題ごとに出題ポイントがわかります。
本書は、どのシリーズを使っている方にもおすすめしたい一冊です。
というのも、行政書士試験の過去問は科目別や肢別(一問一答)のものは多いのですが、年度別のものは定期的に発売されているものはほとんど見当たりません。もちろん、科目別過去問を裁断して年度別ごとに再構築する方法もありますが、本書を買えばそのような工数(と時間)は削減できます。
私も基本はLECさんの『ウォーク問』を使っていましたが、直前期は本試験の問題形式(出題順)に慣れるために本書を繰り返し使って演習をしていました。本試験と同じような並びだと、「この問題は解かないといけない」とか反対に「この問題は捨ててもいい」という判断ができるようになります。
繰り返しますが、本書はどのシリーズを使っている方も持っておくと良いでしょう。
『本試験をあてる TAC直前予想模試 行政書士』の特徴と使い方
『本試験をあてる TAC直前予想模試 行政書士』は、厳密には「みん欲し」シリーズではありませんが、同じTACさんということで紹介します。本書は、3回分の模試を収録した予想問題集です。また、最新本試験も収録されているので、自分の実力を試すこともできます(もっとも、本試験問題は前述の年度別過去問を使えば十分にわかります)。
模試は、一般的に本試験問題よりも難しく作られていることがほとんどなので、本書を通して「自分はダメだ…」と落ち込む必要はありません(クレーム対策で難しく作られています)。問題を解いたあとはかんたんに復習をして、いつも通りの学習に戻りましょう。
「みんなが欲しかった! 行政書士」のルートまとめ
最後に、「みんなが欲しかった! 行政書士」を活用したルートをまとめます。
- みんなが欲しかった! 行政書士の教科書
- みんなが欲しかった! 行政書士の問題集
- みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集
- みんなが欲しかった! 行政書士の最重要論点150
- みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集
- 本試験をあてる TAC直前予想模試 行政書士
「教科書」をメインにして、基本の問題集は「問題集」にしました。本当は過去問集を使っても良いのですが、「みん欲し」シリーズの過去問題集は年度別なので、最初からやるには負担が大きいからです(学習初期の段階では科目別に体系立てて学習するのをおすすめします)。
その後、「40字記述式問題集」で記述式と多肢選択式の対策をして、「最重要論点150」をまとめ本にしながら問題集を繰り返します。夏以降は「5年過去問題集」を使って、本試験の形式に慣れておくと心強いはずです。また、必要に応じて「TAC直前予想模試 行政書士」も使うとよいでしょう。