【行政事件訴訟法】不作為の違法確認の訴えについて、出訴期間や原告適格などまとめ

行政事件訴訟法
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行政事件訴訟法における「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分または裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(3条5項)。

不作為とは、かんたんにいうと(処分または裁決をすべきなのに)しないことです。ここで、処分とは、行政手続法に出てきた「申請に対する処分」や「不利益処分」など公権力の行使に当たる行為のことをいいます。裁決は、行政不服審査法に出てきた審査請求に対する判断のことです。

不作為の違法確認の訴えの判決内容は、「不作為は違法ですよ」という違法を確認するにとどまります。原告が違法確認の訴えをしているだけなのに、裁判所がそれ以上のこと(たとえば、「◯◯という処分をせよ」という判決を出す)をするのは、三権分立に反するおそれがあるからです。

そうすると、原告はどうしようもできないのではないかと考えると思います。そこで、通常は行政事件訴訟の抗告訴訟のひとつである「義務付けの訴え」(義務付け訴訟/37条の2)を一緒に提起して、「こういった処分をしてほしい」と訴えます。こうすることで、違法確認をしてもらった上で、原告が希望する処分をしてもらうことができるようになります。

本試験では、不作為の違法確認の訴えについて、どのような判決を出すかが問われています。

不作為の違法確認の訴えに対し、請求を認容する判決が確定した場合、当該訴えに係る申請を審査する行政庁は、当該申請により求められた処分をしなければならない。

(令4-問17-2)

正解:✕

不作為の違法確認の訴えは、出訴期間はありません。不作為状態が継続している限り、訴えを提起することができます。

不作為の違法確認の訴えの原告適格

不作為の違法確認の訴えは、処分または裁決についての申請をした者に限り、提起することができます(37条)。



不作為の違法確認の訴えを題材にした問題

行政書士試験では、「不作為の違法確認の訴え」について、記述式問題でも出題されています。

Xは、A県B市内において、農地を所有し、その土地において農業を営んできた。しかし、高齢のため農作業が困難となり、後継者もいないため、農地を太陽光発電施設として利用することを決めた。そのために必要な農地法 4 条 1 項所定のA県知事による農地転用許可を得るため、その経由機関とされているB市農業委員会の担当者と相談したところ、「B市内においては、太陽光発電のための農地転用は
認められない。」として、申請用紙の交付を拒否された。そこで、Xは、インターネットから入手した申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。この場合、農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。40 字程度で記述しなさい。

(平成30-44)

※太文字はこちらで編集したものです。

正解例:A県を被告として、不作為の違法確認の訴え義務付けの訴えを併合提起する。

不作為の違法確認の訴えはあくまで、「違法ですよ」というにとどまり、それ以上のことは義務付け訴訟を併合提起する必要があります。

SOMEYA, M.

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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