ここでは、行政不服審査法の「再調査の請求」について解説します。
再調査の請求は、第3章にあります。
- 第1章:総則
- 第2章:審査請求
- 第3章:再調査の請求
- 第4章:再審査請求
- 第5章:行政不服審査会
- 第6章:補則
本試験対策として、行政不服審査法で重要な部分の大半は審査請求です。再調査の請求や再審査請求はどの部分が必要か要点を押さえておきましょう。
それでは、第3章の「再調査の請求」を見てみましょう。
- 第54条:再調査の請求期間
- 第55条:誤った教示をした場合の救済
- 第56条:再調査の請求についての決定を経ずに審査請求がされた場合
- 第57条:三月後の教示
- 第58条:再調査の請求の却下又は棄却の決定
- 第59条:再調査の請求の認容の決定
- 第60条:決定の方式
- 第61条:審査請求に関する規定の準用
まず、前提として、再調査の請求は、「法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるとき」にすることができます(5条)。
以下、本試験で重要な部分を解説します。
第54条:再調査の請求期間
第54条 再調査の請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 再調査の請求は、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
再調査の請求期間は、主観で3か月、客観で1年です。これは、審査請求のときと同じです。処分を受けて最初の請求になるので、主観は3か月となっています。一方、2回目の請求となる「再審査請求」では、主観が1か月となっているのと比較して整理しておきましょう。
第55条:誤った教示をした場合の救済
第55条 再調査の請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示しなかった場合において、審査請求がされた場合であって、審査請求人から申立てがあったときは、審査庁は、速やかに、審査請求書又は審査請求録取書を処分庁に送付しなければならない。ただし、審査請求人に対し弁明書が送付された後においては、この限りでない。
再調査の請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示しなかった場合において、審査請求がされた場合であって、審査請求人から申立てがあったときは、審査庁は、速やかに、審査請求書又は審査請求録取書を処分庁に送付しなければなりません(55条1項本文)。
なお、審査請求に出てくる22条3項と4項についても整理しておきましょう。
3項は、再調査の請求をすることができない処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合、再調査の請求がされたときは、速やかに、再調査の請求書を審査庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければならない(22条3項)。
4項は、再調査の請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示しなかった場合において、再調査の請求がされた場合であって、再調査の請求人から申立てがあったときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書を審査庁に送付しなければならない(22条4項)。
第58条:再調査の請求の却下又は棄却の決定
再調査の請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を却下します(58条1項)。再調査の請求が理由がない場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を棄却します(58条2項)。
第59条:再調査の請求の認容の決定
処分についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更します(59条1項)。
理由があるとは、審査請求の理由がある、つまり処分が違法または不当であったということです。