【行政不服審査法】総則について、目的等や処分、不作為などのまとめ

行政不服審査法
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ここでは、行政不服審査法総則について、全体像から解説します。

まず、行政不服審査法の全体を見てみましょう。

  • 第1章:総則
  • 第2章:審査請求
  • 第3章:再調査の請求
  • 第4章:再審査請求
  • 第5章:行政不服審査会
  • 第6章:補則

本試験対策でいうと、出題される割合の8割が審査請求になります。あとの1割が総則、残りの1割が再調査の請求・再審査請求といった具合です。再調査の請求と再審査請求について、重要なことは総則の中で学習するので、大半は審査請求が占めているといっても過言ではありません。

なお、行政不服審査会補則から出題される可能性は低いので、これらは気にする必要はありません。

総則の条文は全8条で構成されています。

  • 第1条:目的等
  • 第2条:処分についての審査請求
  • 第3条:不作為についての審査請求
  • 第4条:審査請求をすべき行政庁
  • 第5条:再調査の請求
  • 第6条:再審査請求
  • 第7条:適用除外
  • 第8条:特別の不服申立ての制度

総則部分は短いので、どのような部分が問われるかを確認していきましょう。



第1条:目的等

第1条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

1条は、目的等を定めています。行政不服審査法は、行政不服申立てについて定めている法律です。

ポイントは、行政不服申立ては、適法・違法だけでなく、当・不当の審理もできる点です。一方、行政事件訴訟では、適法・違法の審理だけが対象です。これは、行政に関する法律は、行政庁に事由な判断の余地が与えられていることもあり、一般に司法審査は及ばないとされているからです。

また、行政不服申立ては、簡易迅速かつ公正な手続きを実現するために、書面審理主義がとられています。一方、行政事件訴訟は、口頭審理主義(いわゆる裁判です)がとられています。

本試験では、このふたつの違いの理解が問われるので、整理しておきましょう。

行政不服申立て 行政事件訴訟
対象 適法・違法
当・不当
適法・違法
機関 行政機関 裁判所
手続 書面審理主義 口頭審理主義

第2条:処分についての審査請求

行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができます(2条)。

この「不服がある者」について、判例は、「当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者」としています。そして、同判例は、「単に一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につき景表法10条6項による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできない」としました(最判昭53.3.14)。

第3条:不作為についての審査請求

法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、審査請求をすることができます(3条)。

処分についての審査請求が、「処分に不服がある者」であったのに対し、不作為についての審査請求は、「申請をした者」に限られている点に注意しましょう。

第4条:審査請求をすべき行政庁

第4条 審査請求は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする。

4条は、審査請求をすべき行政庁について定めています。総則では、ここがひとつの山場になります。ここは別の場を設けたいと思います。

第5条:再調査の請求

第5条 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第2条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。

条文をひとつずつ読み解いていきましょう。

まず、「行政庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合」とは、処分庁Aに対して、上級行政庁Bが審査請求をすべき行政庁になっている場合などです。この場合において、「法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるとき」は、処分庁に対して再調査の請求をすることができます。つまり、処分庁Aに対して再調査の請求をすることができます。

再調査の請求ができるメリットとして、処分庁に対して「もう一度きちんと調べてください」と言えるので、簡易迅速な救済ができるということがあげられます。ただし、再調査の請求は例外であることから、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときに限定しています。たとえば、課税処分がなされた場合の税務署長等に対する再調査の請求などがあります。

参考:税務署長又は国税局長が行った更正や決定、滞納処分などに不服があるときの再調査の請求手続

第6条:再審査請求

第6条 行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。

再調査の請求と同じく、「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、再審査請求をすることができます。

なお、審査請求と再調査の請求の主観の請求期間は3か月、再審査請求は1か月となっている点は比較しておきましょう。こちらは丸暗記するのではなく、1回目は3か月、2回目は審査があったことを知っているわけだから1か月のように紐つけて覚えると記憶が定着しやすくなります。

第7条:適用除外

7条は、適用除外について定めています。1号から12号までありますが、基本的な考え方として、審査請求になじまないものは適用除外となっています。たとえば、国会の処分や裁判所の処分など一般的に慎重に考慮したと思われるもの、試験結果などが適用除外となっています。

第8条:特別の不服申立ての制度

前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。

条文が読みにくいので補則します。前条(7条)の適用除外の規定に当てはまっていたとしても、別に法令で不服申立ての制度をつくってもよいということです。

SOMEYA, M.

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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