ここでは、行政不服審査法の審査請求について、全体像から解説します。
まず、行政不服審査法の審査請求は、第2章に規定されています。
- 第1章:総則
- 第2章:審査請求
- 第3章:再調査の請求
- 第4章:再審査請求
- 第5章:行政不服審査会
- 第6章:補則
本試験対策として、行政不服審査法でもっとも重要なのがこの審査請求です。
次に、審査請求は全部で5節に分かれています。
- 第1節:審査庁及び審理関係人
- 第2節:審査請求の手続
- 第3節:審理手続
- 第4節:行政不服審査会等への諮問
- 第5節:裁決
第2章の審査請求では、それぞれの節ごとにどのように行政不服申立てが進んでいくかがわかります。
それでは、第1節の「審査庁及び審理関係人」を見てみましょう。
- 第9条:審理員
- 第10条:法人でない社団又は財団の審査請求
- 第11条:総代
- 第12条:代理人による審査請求
- 第13条:参加人
- 第14条:行政庁が裁決をする権限を有しなくなった場合の措置
- 第15条:審理手続の承継
- 第16条:標準審理期間
- 第17条:審理員となるべき者の名簿
第1節では、誰が審理員になるのかといった審査庁側のこと、誰が審査請求するのかといった審査請求する側のこと、標準審理期間といった手続きについて規定されています。
以下、本試験で重要な部分を解説します。
第9条:審理員
第9条 審査庁は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる機関が審査庁である場合若しくは条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合又は第24条の規定により当該審査請求を却下する場合は、この限りでない。
審査庁は、審査庁の職員の中から審理員を指名します(9条)。ただし書きのうち、却下する場合は審理員を指名する必要はないということを押さえておきましょう。
第10条:法人でない社団又は財団の審査請求
第10条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。
法人でない社団等もトラブルが起こることはあるので、審査請求をすることができます。
第11条:総代
第11条 多数人が共同して審査請求をしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができる。
多数人で審査請求をするときは、総代(いわゆる代表者です)を選ぶことができます。
第12条:代理人による審査請求
第12条 審査請求は、代理人によってすることができる。
2 前項の代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
審査請求は、代理人によってもすることができます。ただし、審査請求の取下げをするときは、特別の委任が必要になります。これは行政事件訴訟にも共通しますが、代理人は審査請求や訴訟に勝つことが目的なので、それをやめるには別の委任(特別の委任)が必要になるということです。
第16条:標準審理期間
第16条 審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
標準処理期間については、行政手続法の「申請に対する処分」と共通しています。標準処理期間を定めるのは努力義務ですが、定めた場合は公にしておかなければならない義務規定です。