今回は、行政書士試験の基本書についてお話したいと思います。
行政書士の基本書は、各予備校等から発売されています。どのシリーズを選んでも、合格している人はおり、合格した人は自分の使ったものをおすすめするので、余計に迷ってしまうと思います。最終的には好みになりますが、ここでは、各シリーズの特徴と個人的な意見をお伝えします。
なお、基本的に、教材は同シリーズで使うのをおすすめします。インプットをしたあと、アウトプットをして間違えたときなど相互参照ができるようになっているからです。ただ、学習の後半、必要に応じてまとめ本や年度別過去問集などを使うときは、別シリーズを選んでもよいでしょう。
目次
行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト
「行政書士 合格のトリセツ」シリーズは、LEC専任講師の野畑(のばた)講師による著作です。
- 基本テキスト
- 基本問題集
- 多肢選択・記述に出る 重要判例解説
メリットは、他のシリーズと比較して、平易な文体で書かれているので、わかりやすい点です。また、各編の重要ポイントに絞った講義動画が見られるようになっています。本書に準拠した『基本問題集』も発売されているので、合わせて使うとより利便性が高くなります。『多肢選択・記述に出る 重要判例解説』は、事案や判旨、直前期のダイレクト解説など、まとめ方が良いので、他のシリーズを使っている方の副読本としてもおすすめできます。
デメリットは、他のシリーズと比較すると、記述が簡易な点です。もし、もう少し深い解説を読みたい方は他の基本書等を併用するのをおすすめします。
ユーキャンの行政書士 はじめてレッスン
「ユーキャン」の行政書士の入門書です。ユーキャンの行政書士向けのテキストにあたるものは、入門書のみとなっています。
- ユーキャンの行政書士 はじめてレッスン
- ユーキャンの行政書士 これだけ!一問一答集
メリットは、入門書として使える点です。ただ、あくまで入門書なので、これだけで本試験対策ができるわけではありません。他のシリーズは、基本書と別に入門書が用意されていますが、ユーキャンの場合は市販テキストは入門書のみとなっているので、使い勝手は良いとはいえません。
みんなが欲しかった! 行政書士の教科書
「みんほし」シリーズの「行政書士の教科書」です。知識としては、十分合格できるものです。
- 合格へのはじめの一歩
- 教科書
- 問題集
- 最重要論点150
- 判例集
- 5年過去問題集
- 肢別問題集
- 40字記述式問題集
- 本試験をあてるTAC直前予想模試
メリットは、カラフルでイラストを多用しているため、堅苦しさがない点です。本シリーズは、問題集、過去問、まとめ本、模試など幅広い商品がそろっているので、本シリーズで完結できます。もっとも、人によっては不必要なものもあるので、手を広げすぎないためにも取捨選択は求められます。また、『判例集』は、通読するのは大変なので、辞書として活用するのをおすすめします。
「みんほし」シリーズで特筆すべきは、『5年過去問題集』がある点です。多くのシリーズは、単元別の問題集や過去問はありますが、年度別になっているものはあまりありません。本試験が近づいてきたら、他のシリーズを使っている方も、本書を使うと、本番のときと同じ並びで演習することができるので、「捨ててもよい問題」など、本試験の雰囲気をよりリアルに感じることができるはずです。
一方、デメリットとして、メリットにもあげたカラフルでイラストが多い点があげられます。法律初学者の方にとってはとっつきやすさがあるのは事実ですが、カラフルであるがゆえに何が大切かがわかりにくくなってしまったり、イラストのフォントが読みにくく感じる方もいるかもしれません。行政書士試験に限らず、他の資格試験においても、デザイン面でもっとも好みが分かれるのが本シリーズだと思います。
合格革命 基本テキスト
Wセミナーの「合格革命」シリーズです。行政書士試験対策の基本書として、もっともスタンダードなシリーズのひとつといえます。
- スタートダッシュ
- 基本テキスト
- 基本問題集
- 肢別問題集
- 一問一答出るとこ千問ノック
- 40字記述・多肢選択式問題集
- 法改正と直前予想模試
メリットは、合格するのに十分な知識が得られる点です。本シリーズも、問題集などが豊富なので、自分にとって必要なものを選べるようになっています。問題集は『基本テキスト』に準拠した『基本問題集』のほか、『肢別問題集』『一問一答出るとこ千問ノック』と多くそろっていますが、手を広げすぎないように、1つまたは2つ程度にしておくのをおすすめします。
デメリットは、少し内容が堅いので、法律初学者の方にとって、独学で進めるのは難易度が高い点があげられます。わからないときは、他の基本書やYouTubeなどを参照しながら学習を進めるのをおすすめします。また、本シリーズは、まとめ本がないため、直前期の要点整理などには他のシリーズを使う必要があります。ただ、まとめ本は、基本書とは違うシリーズを使うと、使い勝手に違和感があると思うので、その点は考慮する必要があります。なお、まとめ本が必要ないという方は問題ありません。
出る順行政書士 必修基本書
LECの「出る順」シリーズです。基本書として、スタンダードなもののひとつです。LECの講義で使っているものと何が違うか気になる方のためにいうと、「パーフェクトコース」などで使うものは、科目別に分かれていて、より情報量が多くなっています。もっとも、情報量は多いほどよいというわけではないので、「出る順」シリーズだけでも十分に合格レベルに達することは可能です。
- 合格基本書
- ウォーク問 過去問題集(法令編、基礎知識編)
- 肢別過去問題集
- 40字記述式・多肢選択式問題集
- 最重要論点250
- 当たる!直前予想模試
メリットは、合格するのに必要十分な知識が得られる点です。私は、LECさんの講座を使っていたので、「出る順」シリーズの文体はなじみがあり、使いやすいと思います。テキストは講座のものを使っていましたが、問題集は市販の『ウォーク問』が配布されたので、それを使っていました。また、直前期は『最重要論点250』を使い込んで、情報を一元化していました。
デメリットは、強いてあげると、『ウォーク問』のサイズが小さいことです。名前のとおり持ち運びして、外でも学習できるように配慮されていますが、家で腰を据えて学習するには、基本書と同じサイズでも良いように感じます。もっとも、このあたりは人によって異なります。
うかる! 行政書士 総合テキスト
伊藤塾の「うかる!」シリーズです。伊藤塾さんは、私も好きな予備校のひとつです。
- 入門ゼミ
- 総合テキスト
- 総合問題集
- 必修項目120
- 民法・行政法解法スキル完全マスター
- 憲法・商法・一般知識等 解法スキル完全マスター
「うかる!」シリーズは、法律初学者のハードルを下げてくれる『入門ゼミ』は、ぜひ一度読んでおくのをおすすめします。もし、これで気に入ったら『総合テキスト』を使うという方法でもよいでしょう。
本シリーズは、『総合テキスト』と『総合問題集』で盤石な基礎を身につけ、まとめ本である『必修項目』で情報を整理していくといった使い方がおすすめです。なお、『スキル完全マスター』は、いわゆる副読本なので、必須ではありません。また、直前期は、年度別過去問などを使うのをおすすめします。
デメリットは、強いてあげると、基本書の内容が「合格革命」や「出る順」と比較すると少ない点です。もっとも、合格するには十分なので、心配する必要はありません。
スッキリわかる行政書士
TACの「スッキリ行政書士」シリーズです。
- スッキリわかる行政書士
- スッキリとける行政書士 頻出過去問演習
- スッキリ覚える行政書士 必修ポイント直前整理
スッキリ行政書士シリーズは、6割を取るためのものです。TACさんは、他の資格試験においても、目的別に網羅的なものやスタンダードなもの、最小限のものなどを用意しています。行政書士試験では、「みんほし」がスタンダードなものであり、「スッキリ」が最小限のものにあたります。
メリットは、学習量が少ないので、短期間でも学習できる点です。ただ、学習量が少ないというのは、同時にデメリットにもなるので、その点は注意が必要です。
まとめ
行政書士試験の基本書は各社から発売されています。あくまで個人的な意見になりますが、「合格革命」「出る順」「うかる!」シリーズあたりをおすすめします。もし、これで読みにくいと感じた方は、「みんほし」シリーズを使ってみるのもよいでしょう。
次回の本試験、十分なインプットとアウトプットをして臨みましょう。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。