会社法の株式会社から計算等について学習します。試験対策上、概要にとどめます。
目次
第1節 会計の原則
第2節 会計帳簿等
会計帳簿の作成及び保存
株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない(432条1項)。
株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない(432条2項)。
公正妥当と認められる企業会計を実現するために、株式会社は、会計帳簿を作成し、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、会計帳簿と事業に関する重要な資料を保存しなければなりません。
会計帳簿の閲覧等の請求
① 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
② 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
第3節 資本金の額等
資本金の額及び準備金の額
株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする(445条1項)。
前項の払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる(445条2項)。
資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない(445条3項)。
原則として、株主となる者が株式会社に払込みまたは給付をした財産の額を資本金の額とします。資本金が多いと信用が増えるなどのメリットもありますが、税負担なども増えるため、払込みまたは給付に係る額の2分の1を超えない額を資本金として計上しないことが認められています。
資本金の額の減少
① 減少する資本金の額
② 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
③ 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
株式会社は、株主総会の特別決議により、資本金の額を減少することができます。
債権者の異議
会社の資本金が減少すると、債権者を害するおそれがあるため、資本金等の額を減少する場合、債権者は、異議を述べることができます。
第4節 剰余金の配当
株主に対する剰余金の配当
① 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
② 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
③ 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日
株式会社は、普通決議によって、剰余金の配当をすることができます。剰余金とは、かんたんにいうと、資本金や準備金ではない会社財産のことです。
① 株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利をいう。以下この章において同じ。)を与えるときは、その旨及び金銭分配請求権を行使することができる期間
② 一定の数未満の数の株式を有する株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは、その旨及びその数
また、配当財産が金銭以外の財産であるときは、普通決議によって、所定の事項を定めることができます。もっとも、金銭分配請求権を与えないときは、株主総会の特別決議が必要になります。
根拠条文の読み方が難しいですが、次のようになります。
取締役会は、1事業年度の途中において1回に限り取締役会の決議により、中間配当をすることができます。
適用除外
つまり、剰余金の配当ができないということです。
第5節 剰余金の配当等を決定する機関の特則
剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め
少し細かいですが、一定の会計監査人設置会社は、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨を定款で定めることができます。
第6節 剰余金の配当等に関する責任
配当等の制限
⑧ 剰余金の配当
ここでは剰余金の配当は、分配可能額を超えてはならない点をおさえておきましょう。
剰余金の配当等に関する責任
配当等の制限の規定に違反した場合、業務執行者等は、連帯して、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負います。
株主に対する求償権の制限等
前条第1項に規定する場合において、株式会社が第461条第1項各号に掲げる行為により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額が当該行為がその効力を生じた日における分配可能額を超えることにつき善意の株主は、当該株主が交付を受けた金銭等について、金銭を支払った業務執行者等からの求償の請求に応ずる義務を負わない(463条1項)。
前条第1項に規定する場合には、株式会社の債権者は、同項の規定により義務を負う株主に対し、その交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払わせることができる(463条2項)。
まず、分配可能額を超えることにつき善意の株主は、金銭を支払った業務執行者等からの求償の請求に応ずる義務を負いません。もっとも、債権者は、株主に対して、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払わせることができます。ここは善意であっても対象となる点に注意しましょう。