ここでは、人権の限界から公共の福祉について学習します。今回から、人権の限界に入ります。まずは、人権の限界の大枠を捉えるところからはじめましょう。
人権の限界
国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利とされています。そして、これまで、法人や外国人にも人権が認められるのか、認められるとしたらどのような権利が認められるのかについて学習してきました。
今回は、この人権が無制約なのか、制約されるとしたらどのような根拠に基づいて、どの程度可能なのかについてみていきます。
人権の限界は、大きく「公共の福祉」と「特別の制約」の2つに分けられます。そして、特別の制約は、公務員の人権と在監者の人権に分かれます。
- 公共の福祉
- 特別の制約(公務員の人権、在監者の人権)
ここでも、体系を意識するために、これらを分けて進めていきます。
今回は、公共の福祉についてみていきましょう。
※試験対策上、公共の福祉は少ないので、公務員の人権と同じにしても良かったのですが、二重の入れ子構造になってしまうため(人権の限界>特別の制約>公務員の人権)、便宜上、公共の福祉は別にしました。なお、人権の享有主体は(人権の享有主体>外国人の人権)のようになっています。
公共の福祉
基本的人権は、侵すことができないのが原則です。しかし、一方の人権を保障することによって、もう一方の人権を侵害することになる場合もあります。そこで、憲法は、「公共の福祉」による制約について定めています。
また、詳しくは少し先で学習することになりますが、職業選択の自由や財産権についても「公共の福祉」が使われています。
このように、人権と人権が衝突したときに、一方の人権を制約することを公共の福祉による制約といいます。これに対して、特別の制約については、次回みていきましょう。