会社法の株式会社の機関から指名委員会等及び執行役について学習します。試験対策上、前回の監査等委員会と同じように、概要にとどめます。
目次
第1款 委員の選定、執行役の選任等
委員の選定等
指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の各委員会は、委員3人以上で組織する(400条1項)。
各委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議によって選定する(400条2項)。
各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない(400条3項)。
各委員会は、委員3人以上で組織します。各委員会の権限については、後述します。そして、各委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議によって選定します。委員の過半数は、社外取締役でなければなりません。
執行役の選任等
指名委員会等設置会社には、1人又は2人以上の執行役を置かなければならない(402条1項)。
執行役は、取締役会の決議によって選任する(402条2項)。
指名委員会等設置会社と執行役との関係は、委任に関する規定に従う(403条3項)。
執行役は、取締役を兼ねることができる(403条6項)。
指名委員会等設置会社には、1人または2人以上の執行役を置きます。執行役の権限については、後述します。執行役は、取締役会の決議によって選任します。
第2款 指名委員会等の権限等
指名委員会等の権限等
指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定する(404条1項)。
監査委員会は、次に掲げる職務を行う(404条2項)。
① 執行役等(執行役及び取締役をいい、会計参与設置会社にあっては、執行役、取締役及び会計参与をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
② 株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定
報酬委員会は、執行役等の個人別の報酬等の内容を決定する(404条3項前段)。
指名委員会は、取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定します。つまり、誰を取締役にするか、指名委員会が決めるということです。監査委員会は、執行役等の職務の執行の監査などを行います。監査役と同じように考えることができます。報酬委員会は、執行役等の報酬等の内容を決定します。
第3款 指名委員会等の運営
※省略
第4款 指名委員会等設置会社の取締役の権限等
指名委員会等設置会社の取締役の権限
指名委員会等設置会社の取締役は、業務を執行することができません。通常の株式会社は、取締役が業務を執行するのと比較しておきましょう(348条1項)。
指名委員会等設置会社の取締役会の権限
① 指名委員会等設置会社の業務執行の決定
② 執行役等の職務の執行の監督
指名委員会等設置会社の取締役は、業務執行の決定と執行役等の職務の執行の監督をします。
第5款 執行役の権限等
執行役の権限
① 取締役会の決議によって委任を受けた指名委員会等設置会社の業務の執行の決定
② 指名委員会等設置会社の業務の執行
執行役は、業務の執行を行います。これでそろいました。
指名委員会等設置会社のまとめ
指名委員会等設置会社についてまとめます。
まず、指名委員会等設置会社では、通常の株式会社と同じように、株主総会の決議によって、取締役を選任します(329条1項)。
次に、取締役会において、取締役の中から、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の委員を選定します(400条2項)。さらに、取締役会の決議によって、執行役を選任します(402条2項)。執行役は、取締役の中から選定する必要はない点に注意しましょう。
指名委員会等設置会社は、取締役会が、業務執行の決定と執行の監督(416条1項)をし、執行役が、業務の執行(418条2号)をするというのがポイントです。取締役は、指名委員会等設置会社の業務を執行することはできません(415条)。
指名委員会等設置会社は、コーポレート・ガバナンスの観点から取締役の選任や解任の透明性を高め、報酬決定の客観性を確保するなど優れた仕組みを備えています。しかし、指名委員会が取締役の選任や解任に関する議案の内容を決定する、報酬委員会が執行役等の個人別の報酬等の内容を決定するといったように、日本では経営者側の抵抗感が強く、あまり利用されていません(東京証券取引所上場企業の2%ほど)。本試験対策としても、概要をつかんでおく程度にとどめましょう。