【民法】連帯債権及び連帯債務について,絶対効や相対効のまとめ

民法
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ここでは,民法の多数当事者間の債権及び債務から連帯債権及び連帯債務について解説します。



連帯債権

連帯債権

連帯債権とは,債権の目的が可分である場合において,数人が連帯して債権を有しているものです。たとえば,300万円の金銭債権を数人が連帯して有している状態です。

請求

各債権者は,全ての債権者のために全部または一部の履行を請求することができ,債務者は,全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができます(432条)。

たとえば,各債権者は,300万円の履行を請求することができ,債務者は各債権者に対して履行をすることができます。

更改・免除

連帯債権者の一人と債務者との間に更改または免除があったときは,その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については,他の連帯債権者は,履行を請求することができません(433条)。

たとえば,A,B,CがDに対して持っている300万円の金銭債権のうち,Aが免除をしたとき,Bは,連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分,この場合だと100万円については,履行を請求することができません。つまり,200万円だけ請求できるということです。

相殺

債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において,その債務者が相殺を援用したときは,その相殺は,他の連帯債権者に対しても,その効力を生じます(434条)。

債務者Dが,連帯債権者の一人Bに対して100万円の金銭債権を有する場合,Dが相殺を援用したときは,その相殺は,他の連帯債権者に対しても,効力を生じます。つまり,100万円分は返済したといえるということです。

混同

連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは,債務者は,弁済をしたものとみなします(435条)。

混同があったときは,弁済をしたものとみなされます。

絶対効と相対効のまとめ

原則,連帯債権者の一人について生じた事由は,他の連帯債権者に対してその効力を生じません(435条の2)。例外は,上の請求,更改・免除,相殺,混同,履行です。

連帯債務

連帯債務者

連帯債務とは,債務の目的が可分である場合において,数人が連帯して債務を負っているものです。たとえば,300万円の金銭債務を数人が連帯して負っている状態です。

請求

債権者は,その連帯債務者の一人に対し,または同時にもしくは順次に全ての連帯債務者に対し,全部又は一部の履行を請求することができます(436条)。

たとえば,債権者は,連帯債務者のひとりに対し,300万円の履行を請求することができます。

連帯債務者の一人について法律行為の無効または取消しの原因があっても,他の連帯債務者の債務は,その効力を妨げられません(437条)。

連帯債務者のひとりに無効があっても,他の債務者との間では有効なので,債務は効力を有するということです。

更改

連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,債権は,全ての連帯債務者の利益のために消滅します(438条)。

相殺

連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において,その連帯債務者が相殺を援用したときは,債権は,全ての連帯債務者の利益のために消滅します(439条)。

連帯債務者のひとりと更改や相殺があったときは,すべての連帯債務者の利益のために消滅します。

混同

連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは,その連帯債務者は,弁済をしたものとみなします(440条)。

連帯債務者のひとりと混同があったときは,連帯債務者が弁済をしたものとみなされます。

絶対効と相対効のまとめ

原則,連帯債務者の一人について生じた事由は,他の連帯債務者に対してその効力を生じません。例外は,上の更改・免除,相殺,混同,履行です(441条本文)。

連帯債務者間の求償権

連帯債務者の一人が弁済をし,その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは,その連帯債務者は,その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず,他の連帯債務者に対し,その免責を得るために支出した財産の額のうち各自の負担部分に応じた額求償権を有します(442条)。

A,B,CがDに対して900万円の連帯債務を負っているとします。Aが300万円を弁済したとき,Aは,他の連帯債務者に対して,各自の負担部分に応じた額である100万円ずつをBとCに求償することができます。

この例の場合,最終的には各自が300万円ずつ負担することには違いありません。しかし,その途中の段階として,一人が弁済をしたときは,「自己の負担部分(この場合300万円)を超えるかどうかにかかわらず」求償できることになります。

まとめ

連帯債権と連帯債務について整理しましょう。

連帯債権 連帯債務
履行
請求
更改
(一部)
免除
(一部)
相殺
混同

試験対策の点から,それほど出題される分野ではないので優先度合いは下がります。多数当事者間の債権債務は絶対効か相対効かが問われますが,表を暗記しようとするのではなく,それぞれどのような場面のことなのかを考え,その場合はどうなるかを考えて答えを導けるようにするのがおすすめです。

SOMEYA, M.

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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