【民法】保証債務について,催告の抗弁や検索の抗弁についてのまとめ

民法
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ここでは,民法保証債務について解説します。

保証人は,債務者がその債務を履行しないときに,その履行をする責任を負います(446条1項)。保証契約は,書面でしなければ,その効力を生じません(446条2項)。

保証契約を書面でするのは,保証契約の内容を明確に確認し,また,保証をするに当たっての慎重さを要請するためです。かんたんにいうと,きちんと理解した上で保証人になるようにしているということです。



保証債務の範囲

保証債務の範囲

保証債務は,債務に関する利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含します(447条1項)。また,保証人は,その保証債務についてのみ,違約金または損害賠償の額を約定することができます(447条2項)。

判例は,「保証人は,債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん,特に反対の意思表示のないかぎり,売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずる」としています(最判昭40.6.30)。

催告の抗弁

催告の抗弁

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは,保証人は,まず債務者に催告をすべき旨を請求することができます(452条本文)。

債権者がいきなり保証人に債務の履行を請求してきたときは,保証人は「まずは債務者に催告して」と言えるということです。これを催促の抗弁権といいます。

検索の抗弁

検索の抗弁

債権者が債務者に催告をした後であっても,保証人が債務者に弁済をする資力があり,かつ,執行が容易であることを証明したときは,債権者は,まず債務者の財産について執行をしなければなりません(453条)。

債権者が,債務者に履行の催促をしたあとであっても,債務者に資力があり,執行が容易であることを証明したときは,債務者はまず債務者の財産から執行をする必要があります。これを検索の抗弁といいます。債務者が支払えばいいのに保証人に迷惑をかけてはいけないということです。

連帯保証の場合の特則

連帯保証の場合の特則

保証人は,債務者と連帯して債務を負担したときは,催告の抗弁と検索の抗弁の権利を有しません(454条)。

債務者と連帯して債務を負担することを連帯保証といいます。通常の保証が,債務者より一歩下がって何かあったときは保証するというものに対して,連帯保証は,債務者と同じポジションで保証します。そのため,「まずは債務者に催告して」とか「債務者がこれだけお金を持っている」ということができないようになっています。

保証人の事後の求償権

保証人の事後の求償権

委託を受けた保証人が,債務者に代わって弁済をしたときは,その保証人は,債務者に対し,そのために支出した財産の額の求償権を有します(459条)。

保証人がとりあえずお金を立て替えてあげたのだから,債務者に対して,「お金を返して」と言えるということです。

保証人の事前の求償権

保証人の事前の求償権

委託を受けた保証人は,次に掲げるときは,債務者に対して,あらかじめ求償権を行使することができます(460条)。

  • 債務者が破産手続開始の決定を受け,かつ,債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
  • 債務が弁済期にあるとき。
  • 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。

事前の求償権は,債務者がお金を返せなくなりそうとか,お金を返すべきとき,先に債務者からお金を払ってもらうものです。たとえば,破産手続があって,債権者が破産財団の配当に加入しないときは,債権者は保証人に弁済を求めてくることが予測できるので,あらかじめ求償権を認めています。

SOMEYA, M.

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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