店舗型性風俗特殊営業(ソープ,ファッションヘルス,個室ビデオ等)は,届出制です。ただし,店舗をかまえるという性質上,禁止区域等の制限がかけられています。ここでは,店舗型性風俗特殊営業を開業するまでの流れについて解説します。
店舗型性風俗特殊営業の届出の全体像
店舗型性風俗特殊営業の全体像を見ておきましょう。
- 基準を確認する
- 書類を準備する
- 届出をする
風俗営業(キャバクラ等)と異なり,許可が必要ではない分,すっきりしています。ただし,
基準を確認する
営業の種別
舗型性風俗特殊営業には,1号〜6号があります。「号」というのは,風俗営業法2条6項各号で定められているからです。概ね,以下の種別が該当します。
- 1号:ソープランド
- 2号:ファッションヘルス
- 3号:ストリップ,個室ビデオ
- 4号:ラブホテル
- 5号:アダルトショップ
- 6号:出会い喫茶
営業の禁止区域
店舗型性風俗特殊営業は,官公庁施設,学校,図書館,児童福祉施設など,その周辺における善良の風俗,清浄な風俗環境を害する行為,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地の周囲200メートルの区域内で営むことができません。
また,これらの区域では,広告物(看板,立看板,はり紙など)を表示することもできません。

2022.11.04
沖縄県における風俗営業の営業区域の制限について
風俗営業は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,営業区域の制限がされています。ここでは,営...
営業時間
店舗型性風俗特殊営業は,営業時間の制限は特にありません。ただし,都道府県の条例により,深夜における営業時間を制限していることがあります。
たとえば,沖縄県では,以下の深夜時間帯での営業が制限されています。
- 1号(ソープランド):午前1時〜午前6時
- 3号(ストリップ,個室ビデオ):午前0時〜午前6時
- 5号(アダルトショップ):午前1時〜午前6時
- 6号(出会い喫茶):午前0時〜午前6時

2022.10.28
沖縄県における風俗営業の営業時間の制限について
風俗営業は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、営業時間の制限がされています。ここでは,時...
書類を準備する
店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は,営業を開始する10日前までに,営業所ごとに,営業所の所在地を管轄する公安委員会に,届出書を提出する必要があります。
届出書
届出書には次の事項を記載します。
- 氏名(法人の場合は名称,代表者の氏名)及び住所
- 営業所の名称及び所在地
- 店舗型性風俗特殊営業の種別
- 営業所の構造及び設備の概要
- 営業所における業務の実施を統括管理する者の氏名及び住所
添付書類
届出書には,営業の方法を記載した書類,以下の書類を添付します。
- 営業の方法を記載した書類
- 受付所の平面図及び受付所の周囲の略図
- 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
- 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
- 個人であるときは,住民票の写し
- 法人であるときは,定款,登記事項証明書及び役員に係る住民票の写し※
- 営業所における業務の実施を統括管理する者に係る住民票の写し
※法人の場合,定款の事業目的に「店舗型性風俗特殊営業」を記載しておく必要があります。事業目的は登記事項のため,法務局で登記する必要があります。
届出をする
届出書,添付書類を管轄する公安委員会に提出します。問題がなければ,「届出書の提出があった旨を記載した書面」が交付されます。
営業上の注意点
廃止・変更があったときは届出を提出する
営業を廃止したとき,届出した事項に変更があったときは,届出書を提出する必要があります。
従業者名簿の備付け
店舗型性風俗特殊営業を営む場合,事務所ごとに以下の事項を記載した従業者名簿を備える必要があります。
- 住所
- 指名
- 性別
- 生年月日
- 採用年月日
- 退職年月日
- 従事する業務の内容
店舗型性風俗特殊営業は,18歳未満の者を客に接する業務に従事させることはできません。接客従業者(キャスト)の生年月日,国籍(日本国籍を有しない者は資格等)を以下の書類により確認する必要があります。
- 住民票記載事項証明書
- 一般旅券(パスポート)
- 運転免許証など,官公庁から発行され生年月日及び本籍地都道府県名の記載のあるもの
従業者名簿を備えなかったり,必要な記載をしなかった者,虚偽の記載をした者は100万円以下の罰金に処せられるので,従業者名簿の備付けには注意しましょう。