風営法

風俗営業と性風俗特殊営業の種類について

風俗産業は,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(「風営法」「風適法」「風俗営業法」などと略されます)上,「風俗営業」と「性風俗特殊営業」に分けられています。

風俗営業をするには,都道府県公安委員会の「許可」が必要です(許可の要件を満たせば,許可が下ります)。一方,性風俗特殊営業は,「届出」となっています(必ず受理されます)。

  • 風俗営業:許可制
  • 性風俗特殊営業:届出制

ここでは,風俗営業と性風俗特殊営業について解説します。

風俗営業

風俗営業の分類

「風俗営業」は,次の5種類に分類されています(1号,2号のように「号」で呼ばれるのは,これらの分類が風俗営業法第2条第1号から第5号で定められているからです)。

1号

キャバレー,カフェーなど,客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業を1号営業といいます。

風俗営業法において「接待」とは,「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいいます。これは,特定の客または客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うこととされています。

接待の主体は,営業者や雇用している者に限らず,客を装った者が接待する場合も含みます。また,接待は異性に限られるものではありません。

接待にあたるかどうかは,以下の要素が考慮して判断されます。

(1) 談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり,継続して,談笑の相手となったり,酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たります。

(2) ショー等
特定少数の客に対して,専らその客の用に供している客室または客室内の区画された場所において,ショー,歌舞音曲等を見せ,または聴かせる行為は接待に当たります。

(3) 歌唱等
特定少数の客の近くにはべり,その客に対し歌うことを勧奨し,もしくはその客の歌に手拍子をとり,拍手をし,もしくは褒めはやす行為または客と一緒に歌う行為は,接待に当たります。

(4) ダンス
特定の客の相手となって,その身体に接触しながら,当該客にダンスをさせる行為は接待に当たります。また,客の身体に接触しない場合であっても,特定少数の客の近くに位置し,継続して,その客と一緒に踊る行為は,接待に当たります。

(5) 遊戯等
特定少数の客と共に,遊戯,ゲーム,競技等を行う行為は,接待に当たります。

(6) その他
客と身体を密着させたり,手を握る等客の身体に接触する行為は,接待に当たる。また,客の口許まで飲食物を差出し,客に飲食させる行為も接待に当たります。

2号

喫茶店,バーなどで,(国家公安委員会規則で定めるところにより計った)営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(低照度飲食店)を2号営業といいます。

3号

喫茶店,バーなどで,他から見通すことが困難であり,かつ,その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むものを3号営業といいます。

4号

マージャン屋,パチンコ屋など,客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業を4号営業といいます。

5号

スロットマシン,テレビゲーム機など,遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗において,客に遊技をさせる営業を5号営業といいます。いわゆるゲームセンターがこれにあたります。

性風俗特殊営業

「性風俗特殊営業」は,大きく次の5種類に分類されています。

  1. 店舗型性風俗特殊営業
  2. 無店舗型性風俗特殊営業
  3. 映像送信型性風俗特殊営業
  4. 店舗型電話異性紹介営業
  5. 無店舗型電話異性紹介営業

店舗型性風俗特殊営業

店舗型性風俗特殊営業は,さらに6種類に分けられます。

1号

浴場業の施設として個室を設け,当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業を1号営業といいます。いわゆる「ソープランド」です。

2号

個室を設け,当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を2号営業といいます。いわゆる「ファッションヘルス」です。

3号

専ら,性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行などを経営する営業を3号営業といいます。いわゆる「ストリップ」や「個室ビデオ」が該当します。なお,「専ら」という表現は,おおむね7割ないし8割程度以上をいいます(他の営業も同様です)。

4号

専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する施設を設け,当該施設を当該宿泊に利用させる営業を4号営業といいます。いわゆる「ラブホテル」です。

5号

店舗を設けて,専ら,性的好奇心をそそる写真,ビデオテープなどを販売し,または貸し付ける営業を5号営業といいます。いわゆる「アダルトショップ」です。

6号

その他,店舗を設けて営む性風俗に関する営業で,善良の風俗,清浄な風俗環境または少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるものを6号営業といいます。いわゆる「出会い喫茶」が該当します。

無店舗型性風俗特殊営業

無店舗型性風俗特殊営業は,さらに2種類に分けられます。

1号

人の住居または宿泊の用に供する施設において,異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で,当該役務を行う者を,客の依頼を受けて派遣することにより営むもの。いわゆる「デリヘル」「ホテヘル」です。

2号

電話などの方法による客の依頼を受けて,専ら,性的好奇心をそそる写真,ビデオテープなどを販売し,または貸し付ける営業で,当該物品を配達し,または配達させることにより営むもの。アダルトグッズの通信販売が該当します。

映像送信型性風俗特殊営業

映像送信型性風俗特殊営業は,専ら,性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面または衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で,電気通信設備(インターネットなど)を用いてその客に当該映像を伝達することにより営むものをいいます。アダルトビデオ映像を送信する営業が該当します。

店舗型電話異性紹介営業

店舗型電話異性紹介営業は,店舗を設けて,専ら,面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者に対し,会話(伝言のやり取りを含む)の機会を提供することにより異性を紹介する営業をいいます。「店舗型のテレクラ」が該当します。

無店舗型電話異性紹介営業

無店舗型電話異性紹介営業は,専ら,面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し,会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業をいいます。「無店舗型のテレクラ」が該当します。

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