今回のテーマは耕作地に占める灌漑面積の割合です。
それでは、実際に出題された問題を見てみましょう。
次の図2は、いくつかの地域における耕作地に占める灌漑面積の割合と、1ha当たりの穀物収量を示したものであり、①〜④は、アフリカ、中央・西アジア、東アジア、ヨーロッパのいずれかである。東アジアに該当するものを選ぶ問題です。
それぞれの特徴について考えてみましょう。
まず、灌漑とは、農業に必要な水を人工的に供給することをいいます。人工的に供給するということは、人口的に供給しなければならないということなので、乾燥している地域などに多くみられます。また、大量の水が必要な稲作をする地域でも多く使われます。
参考:【最近の研究成果】「灌漑」が地球環境に与える影響| 地球環境研究センターニュース
アフリカは、焼畑農業が多いため、灌漑面積の割合は少なくなります。また、資本が少ないため、穀物収量も少ないのが特徴です。
中央・西アジアは、乾燥地帯が広がります。そのため、灌漑面積の割合が大きくなります。もっとも、先進国と比べると穀物収量は少なくなります。
中央・西アジアにおいて、イランではカナート、アフガニスタンやパキスタンではカレーズと呼ばれる灌漑システムが有名です。これは、水の蒸発を防ぐために地下水路を通し、灌漑をする場所まで水を導くのが特徴です。
東アジアでは、灌漑が行われる労働集約的な農業が行われます。また、稲作が盛んのため、穀物収量が多くなります。
ヨーロッパは、畑作が多いため、灌漑は少なくなります。もっとも、大規模な機械、設備、技術、肥料、農薬などに大量の資本を投じて行われる資本集約的農業を行うため、1ha当たりの穀物収量は大きくなります。
これらの情報を参考に問題を見てみましょう。
アフリカは、灌漑が少なく、穀物収量も少ないので、①が当てはまります。
中央・西アジアは、灌漑が多く、しかし、穀物収量が少ないので、④が当てはまります。
アジアは、灌漑が多く、穀物収量も多いので、③が当てはまります。
そして、ヨーロッパは、灌漑が少なく、穀物収量が多いので、②が当てはまります。
どの地域も特徴があるのでわかりやすいです。