今回のテーマは、月別・時間別の気温分布です。
それでは、実際に出題された問題を見てみましょう。
次の図4は、東京といくつかの都市における月別・時間別の気温分布を等値線で示したものである。カ〜クは、オーストラリアのパース、ロシアのヤクーツク、ボリビアのラパスのいずれかである。都市名との正しい組み合わせを選ぶ問題です。
今回は、東京の気温分布が掲載されています。これを参考にしながら考えていきましょう。
東京は、8月の午後、もっとも気温が高くなっていることがわかります。今年も、東京をはじめとした本州は暑いですよね。この統計は、2020年にNOAA(アメリカ海洋大気庁)によって作られたものですが、今はもっと暑いように感じます。
東京は北半球なので、7月から9月にかけて気温がもっとも高くなります。反対に、南半球は、緯度にもよりますが、基本的には7月から9月にかけて気温がもっとも低くなります。
オーストラリアというと、東海岸の2大都市、シドニーとメルボルンが有名ですが、西にあるパースも大きな都市のひとつになります。知らない都市名が出てくるとあわててしまいそうですが、オーストラリアということで南半球であるということを考えられれば十分です。
次に、ロシアは、国土の大部分が寒冷な気候です。また、沿岸部を除いて大陸性の気候です。大陸性ということは、昼と夜の温度の差が大きいことになります。なぜ、昼と夜の温度の差が大きいのでしょうか。それは、比熱の大きい水、つまり海がないからです。比熱が大きい海は温まりにくく、冷めにくい特徴があります。一方、比熱が海より小さい内陸は、温まりやすく、冷めやすい特徴があります。つまり、昼は温まりやすく、夜は冷めやすい、昼と夜の温度差が大きくなります。
ここで、ヤクーツクの場所を確認しておきましょう。ロシアの東側、レナ川の中央に位置しており、いかにも寒そうな場所です。なお、ヤクーツクは、夏は30度まで気温が上がり、1月は-40度まで下がることもあります。
参考:気象庁「ヤクーツク – ロシア 緯度:62.02°N 経度」
最後に、ボリビアについて。国の名前よりラパスという高地にある都市の名前が有名かもしれません。場所を確認しておきましょう。アンデス山脈のあたりに位置していることがわかります。低緯度のため、平地であれば気温は高くなります。もっとも、高地にあるため、気圧が低くなり、空気が自由に動き回れるようになり、熱が分散し、結果として、気温が低くなります。
また、空気の層が薄いため、昼間は太陽の光が地表を直接温めますが、夜は太陽からのエネルギーが途絶えるとすぐに冷え込んでしまいます。これは放射冷却と呼ばれる現象です。このため、高地は、日較差(にちかくさ)が大きくなります。
これらの情報を参考に、問題を見てみましょう。
カとキは、8月がもっとも気温が低くなっていることから、南半球の都市であることがわかります。一旦保留しておきましょう。
クは、7月くらいに少し暖かくなりますが、それ以外はかなり寒いことがわかります。このことから、ロシアのヤクーツクがあてはまります。
カとキを比較すると、カはどちらかというと線が縦に走っていることから年較差があることがわかります。少しわかりにくいかもしれませんが、東京と似たイメージです。このことからオーストラリアのパースであることが予想できます。
もし、難しければ、キを見てみましょう。キは、線が横に走っていて年較差はあまりないことがわかります。つまり、低緯度の特徴です。
もう少しわかりやすい例を出すと、赤道直下の都市、たとえばシンガポールなどは年中気温が高いことがわかります。今回の気温分布を見ると、キは、年較差があまりないですが、全体的に気温が低いことがわかります。このことから低緯度ではあるけれど、高地であることがわかります。さらに、昼は暖かく夜は寒いという日較差があることもわかります。このことから、低緯度の高地であるボリビアのラパスがあてはまります。
この問題は、ロシアのヤクーツクはすぐにわかります。あとの2つは、都市として東京に近い方がオーストラリアのパースであることがわかれば解けるようになっています。