今回も、地理の共通テストレベルの問題を解けるようになるのが目標です。
今回のテーマは、製鉄所の立地です。
それでは、実際に出題された問題を見てみましょう。
実際のテストでは、会話文を見るのは大切ですが、ここでは、先に鉄鋼業はどのようなものか、見てみましょう。
鉄鋼業は、製品と比べて輸送費が高い原料指向型です。そのため、原料産地で製品化をします。運ぶと重いから、その場で製品にして軽くしてから運ぶということです。
1910年、日本では北海道の室蘭、岩手県の釜石、福岡県の八幡に製鉄所がありました。特に、鉄の製造から鋼材の生産まで一貫して行う日本初の銑鋼一貫製鐵所である八幡製鐵所は有名です。
1940年、工業化が進行しました。時代を考えると戦前です。そこで、輸入資源を利用するために、東京や大阪の湾岸部に製鉄所ができました。
1974年、高度経済成長期です。日本は自動車産業などが強いので、製鉄所が増えていきます。広大な土地が安く使えることから、各地で埋立地がつくられるようになりました。
なお、この頃、資源の枯渇や採掘コストの上昇により輸入する傾向が強まるようになります。問題文では、1940年に資源が枯渇するという選択肢があるので、そこが間違いになります。ただ、どの時点で資源が枯渇するかを特定するのは少し難しいように感じるので、実際は「確実に合っているところを消す」消去法を使うことになるかもしれません。
2022年、粗鋼の生産量の1位は中国、2位はインドです。日本は、1990年代に1位でしたが、現在は3位になっています。日本の自動車産業と紐づけると理解しやすいと思います。
なお、これは鉄鉱石を原料として作られた粗鋼の生産量です。以前見た、原料の鉄鉱石の産出量とは別なので、混ざってしまわないように整理しておきましょう。
そして、経営の合理化や企業の再編などから、製鉄所の閉鎖が進んでいます。企業の再編とは、A社とB社が合併して新しい会社をつくるなどのことです。