今回は、社労士試験の基本書についてお話したいと思います。
社労士の基本書は、各予備校等から発売されています。どのシリーズを選んでも、合格している人はおり、合格した人は自分の使ったものをおすすめするので、余計に迷ってしまうと思います。最終的には好みになりますが、ここでは、各シリーズの特徴と個人的な意見をお伝えします。
なお、基本的に、教材は同シリーズで使うのをおすすめします。インプットをしたあと、アウトプットをして間違えたときなど相互参照ができるようになっているからです。ただ、学習の後半、必要に応じてまとめ本や年度別過去問集などを使うときは、別シリーズを選んでもよいでしょう。
社労士 合格のトリセツ 基本テキスト
「社労士 合格のトリセツ」シリーズは、LEC専任講師の椛島講師による著作です。今回、紹介する中だともっとも入門的な位置づけになります。
メリットは、文章が少なく、かつ、平易な文体で書かれているので、わかりやすい点です。私はLECの「社労士合格コース」の講座を受けていましたが、LECでは、椛島先生はいちばん上手いと思います。また、本書に準拠した『基本問題集』も発売されているので、合わせて使うとより利便性が高くなります。さらに、本書と連動している「合格のトリセツ講座」の導入動画が見られるのもポイントです。
デメリットは、本書だけだと合格レベルに達するのは難しい点です。これは本シリーズはあくまで入門レベルの立ち位置でつくられているので仕方ないと思います。本書では、より本格的な学習をするために、巻末等でLECの「出る順」シリーズが紹介されています。
法律初学者で社労士試験がどのようなものか知りたい方におすすめ
ユーキャンの社労士 速習レッスン
ユーキャンの基本書です。このあたりから1冊で合格できる圏内に入ってきます。
メリットとして、条文と合わせて趣旨なども書かれており、比較的理解もしやすい点があげられます。同シリーズには、『過去&予想問題集』『これだけ!一問一答集』があります。「一問一答集」は「要点まとめつき」とありますが、これ単体ではまとめ本ほどの役割にはならないので、注意が必要です。
デメリットとしては、合格圏内にはあるものの、情報が少し心もとない点があげられます。もっとも、これらは過去問演習を通して、知識をインプットすればカバーできます。
ユーキャンブランドが好きな方におすすめ
みんなが欲しかった! 社労士の教科書
「みんほし」シリーズの「社労士の教科書」です。知識としては、十分合格できるものです。
メリットは、カラフルでイラストを多用しているため、堅苦しさがない点です。また、条文だけでなく趣旨なども書かれているので、理解もできるつくりになっています。本シリーズは、問題集、過去問、まとめ本、模試など幅広い商品がそろっています。特に、試験が近づいてきたときは、本シリーズの「年度別過去問題集」が重宝します。これは、他のシリーズを使っている人にもおすすめします。
デメリットは、まず、メリットにもあげたカラフルでイラストが多い点です。これは、法律初学者の方にとってはとっつきやすさがあります。ただ、カラフルであるがゆえに何が大切かがわかりにくくなってしまったり、イラストのフォントが読みにくくなってしまっているように私は感じました。社労士試験だけに限らず、デザイン面でもっとも好みがわかれるのが本シリーズといえます。また、文章が敬体(です・ます調)で書かれているのですが、これが条文を理解しにくくしているような気がします。
カラフルでイラストが多いデザインが好きな方におすすめ
出る順社労士 必修基本書
LECの「出る順」シリーズです。基本書として、もっともスタンダードな立ち位置といえます。LECの講義で使っているものと何が違うか気になる方のためにいうと、「合格コース」などで使うものは、科目別に分かれていて、もう少し情報が多い印象があります。ただ、合格レベルの知識としては、本書で必要十分です。むしろ、網羅性を求めると、足をすくわれるような気がします。
メリットは、情報が端的にまとまっている点です。個人的には、本シリーズがいちばん見やすいです。また、問題集は一問一答式のものと本試験形式のものが用意されています。両方をするのは大変なので、好みに合わせて選べばよいでしょう。私は本試験形式のものをおすすめします。
デメリットとしては、常体(である調)のため、初学者にとっては少しとっつきにくく感じるかもしれない点があげられます。また、解説が少ないため、まったくの初学者が本書だけで理解するのは、少し難しく感じます。他、紙質が薄かったり、科目ごとにある講師の顔写真はいらないように感じます。
スタンダードな基本書を探している方におすすめ
よくわかる社労士 合格テキスト
TACの「よくわかる」シリーズです。本シリーズは、TAC社労士講座の上級本科生の公式教材です。そのため、市販のテキストにおいて、情報の充実度はトップクラスです。
メリットとしては、情報の網羅性があげられます。法律や規則の条文が列挙されているので、辞書代わりに使うこともできるようになっています。また、例年4月頃になると、別冊として『直前対策 一般常識・統計/白書/労務管理』が発売されるので、最新の統計についても把握できます。
デメリットとして、まず、価格が高いことがあげられます。他の基本書が1冊であるのに対して、本シリーズは、科目ごとに分かれて販売されているので、全10冊すべてそろえると3万円近くかかることになります。さらに、前述の「別冊」が1冊、「過去問」が4冊も加わるので、教材費用だけでけっこうな金額になります。これは予備校教材にも使えるという点から仕方ないかもしれません。
そして、本シリーズは、公式教材のため、あくまで講師の解説ありきです。そのため、本シリーズだけで趣旨もわからないところから独習するのは、少しハードルが高いと言わざるをえません。もっとも、基本は理解しており、次の段階に行きたい方は本書を選ぶのはよいと思います。ただ、実際、2年目以降でやるべきことは、知識を増やすことではなく、基礎を固めることであるという視点もあります。
高いレベルのものを探している方におすすめ
まとめ
社労士試験の基本書は各社から発売されています。あくまで個人的な意見になりますが、LECの「出る順」シリーズをおすすめします。もし、これで読みにくいと感じた方は「みんほし」シリーズがおすすめです。
次回の本試験、十分なインプットとアウトプットをして臨みましょう。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。