適用事業・任意適用事業について横断整理します。
まず、適用事業は、労働保険(労災保険・雇用保険)と社会保険(健康保険・厚生年金保険)の大きく2つに分けて考えることができます。
- 労働保険(労災保険・雇用保険)
- 社会保険(健康保険・厚生年金保険)
このうち、社会保険の健康保険と厚生年金保険は同じなので、セットにします。労災保険と雇用保険は、基本的に同じですが、労災保険は主に労働災害を補償するもの、雇用保険は、主に失業時に給付を行うものという目的から、微妙に異なります。かんたんにいうと、労災が起きやすい業種に関しては、強制適用事業となります。
- 労災保険
- 雇用保険
- 社会保険(健康保険・厚生年金保険)
この視点から整理しましょう。
適用事業
労災法
労災法では、原則として、労働者を使用する事業を適用事業とします。
雇用保険法
雇用保険法では、原則として、労働者が雇用される事業を適用事業とします。
健康保険法・厚生年金保険法
② 国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの(健保法3条3項2号、厚年法6条1項2号)
健康保険法と厚生年金保険法は、まず、適用事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するものが適用事業所となります。適用事業についてはここでは省略しますが、多くの事業が適用事業に該当し、適用事業ではないものを覚えるのでした。次に、国、地方公共団体、法人の事業所で常時従業員を使用するものも適用事業所となります。法人の場合は、1人でも常時従業員を使用していれば適用事業所となり、個人の場合は、適用事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するものが対象になるので整理しておきましょう。
(暫定)任意適用事業
ここからは、任意適用事業です。
労災法
労災法は、農林水産業の一部について、暫定的に任意適用事業とされています。
- 農業:常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業(一定の危険・有害作業を行う事業及び事業主が農業について特別加入している事業を除く)
- 林業:労働者を常時使用せず、かつ、年間使用延べ労働者数が300人未満の個人経営の事業
- 水産業:常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業であって、総トン数5トン未満の漁船によるもの又は災害発生のおそれが少ない河川、湖沼又は特定海面において主として操業するもの
まず、労働保険の任意適用事業は、原則として、農林水産業で常時5人未満の労働者を使用する個人事業だと考えます。しかし、前述のように、労災法は、主に労働災害を補償するもののため、農業・林業・水産業ごとに労災リスクが異なることから、それぞれ要件が分けられています。もっとも労災リスクが高い林業については、「労働者を常時使用せず」といったように、要件が重くなっている点に注意しましょう。
雇用保険法
① 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
② 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く。)
雇用保険法は、農林水産業で常時5人未満の労働者を使用する個人事業が暫定的に任意適用事業となります。試験対策上、難しく考えず、1号は農業と林業、2号は水産業を指していると考えて問題ありません。
健康保険法・厚生年金保険法
② 国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの(健保法3条3項2号、厚年法6条1項2号)
労災法と雇用保険法は、政策的に「当分の間」暫定的に任意適用事業とされていましたが、健康保険法と厚生年金保険法は、適用事業に該当しないものが任意適用事業所となります。
まず、適用事業でない事業所は任意適用事業所となります。
次に、適用事業の事業所であって、常時5人未満の従業員を使用する事業所も任意適用事業所となります。
もちろん、法人の事業所であると2号に該当するため、どちらも個人経営であることは必要です。
