【雇用保険法】育児休業給付について、育児休業給付金と出生時育児休業給付金のまとめ

雇用保険法
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雇用保険法の育児休業給付について解説します。育児休業給付は、第3章の2ということで、新しくできた給付であることがわかります。前回の介護休業給付と似ている点があるので、比較しながら見ていきましょう。

育児休業給付

育児休業給付は、育児休業給付金及び出生時育児休業給付金とする(61条の6第1項)。

ここで、育児休業給付は2種類あることがわかりました。

育児休業給付金

育児休業給付金は、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)、厚生労働省令で定めるところにより、その1歳に満たない子(その子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、1歳6か月に満たない子(その子が1歳6か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、2歳に満たない子))を養育するための休業(以下この章において「育児休業」という。)をした場合において、当該育児休業(当該子について2回以上の育児休業をした場合にあっては、初回の育児休業とする。以下この項及び第3項において同じ。)を開始した日前2年間(当該育児休業を開始した日前2年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間))に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給単位期間について支給する(61条の7第1項)。

育児休業給付金は、被保険者が、1歳に満たない子を養育するための休業をした場合、育児休業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給単位期間について支給されます。被保険者期間は、介護休業給付と同じであることがわかります。

以下、条文を掘り下げていきましょう。

被保険者は、「短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。」となっています。このことから、高年齢被保険者は含まれることがわかります。さまざまな事情により、祖父母が育児をしていることを想像するとわかりやすいと思います。

子の年齢は、原則1歳に満たない子ですが、1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、1歳6か月に満たない子となります。さらに、必要と認められる場合は、2歳に満たない子となります。

厚生労働省令で定める場合は、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳(または1歳6か月)に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合などが規則で定められています(規則101条の25)。

育児休業期間中に受給資格者が一時的に当該事業主の下で就労する場合は、当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていれば、当該育児休業が終了したものと取り扱わない(行政手引59503)。

産後6週間を経過した被保険者の請求により産後8週間を経過する前に産後休業を終了した場合、その後引き続き育児休業を取得したときには、産後8週間を経過した後から対象育児休業となる(行政手引59503)。

育児休業の申出に係る子が1歳に達した日後の期間について、児童福祉法第39条に規定する保育所等において保育を利用することができないが、いわゆる無認可保育施設を利用することができる場合、他の要件を満たす限り育児休業給付金を受給することができる(行政手引59601)。

被保険者が育児休業についてこの章の定めるところにより育児休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が同一の子について3回以上の育児休業(厚生労働省令で定める場合に該当するものを除く。)をした場合における3回目以後の育児休業については、育児休業給付金は、支給しない(61条の7第2項)。

同一の子についての育児休業給付金は3回目以後はされません。介護休業給付金は4回目以後であったことと比較しておきましょう。

「みなし被保険者期間」は、育児休業を開始した日を被保険者でなくなった日とみなして計算されることとなる被保険者期間に相当する期間とする(61条の7第3項)。

「みなし」については、これまでさまざまなところで解説してきているので、ここでは割愛します。

この条において「支給単位期間」とは、育児休業をした期間を、当該育児休業を開始した日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該育児休業をした期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項及び次項において「休業開始応当日」という。)から各翌月の休業開始応当日の前日(当該育児休業を終了した日の属する月にあっては、当該育児休業を終了した日)までの各期間に区分した場合における当該区分による一の期間をいう(61条の7第5項)。

「支給単位期間」の概念については、介護休業給付のときと同様です。

育児休業給付金の額は、一支給単位期間について、育児休業給付金の支給を受けることができる被保険者を受給資格者と、当該被保険者が当該育児休業給付金の支給に係る育児休業(同一の子について2回以上の育児休業をした場合にあっては、初回の育児休業とする。)を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下この項及び次項において「休業開始時賃金日額」という。)に次の各号に掲げる支給単位期間の区分に応じて当該各号に定める日数(同項において「支給日数」という。)を乗じて得た額の100分の50(当該育児休業を開始した日から起算し当該育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して180日に達するまでの間に限り、100分の67)に相当する額とする。(61条の7第6項)。

① 次号に掲げる支給単位期間以外の支給単位期間 30日
② 育児休業を終了した日の属する支給単位期間 当該支給単位期間における当該育児休業を開始した日又は休業開始応当日から当該育児休業を終了した日までの日数

育児休業給付金の額は、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の50に相当する額になります。ただ、休業日数が通算して180日に達するまでの間は、100分の67に相当する額に調整されています。100分の67は介護休業給付金の額と同様です。また、支給単位期間あたり30日、最後の支給単位期間(最終月)は、終了した日までの日数が支給される点も同じです。

育児休業をした被保険者に当該被保険者を雇用している事業主から支給単位期間に賃金が支払われた場合において、当該賃金の額に当該支給単位期間における育児休業給付金の額を加えて得た額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の80に相当する額以上であるときは、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の80に相当する額から当該賃金の額を減じて得た額を、当該支給単位期間における育児休業給付金の額とする。この場合において、当該賃金の額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の80に相当する額以上であるときは、当該賃金が支払われた支給単位期間については、育児休業給付金は、支給しない(61条の7第7項)。

育児休業をした被保険者に事業主から賃金が支払われた場合について、介護休業給付金のときと同様の規定がされています。

被保険者の養育する子について、当該被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)が当該子の1歳に達する日以前のいずれかの日において当該子を養育するための休業をしている場合における第1項の規定の適用については、「その1歳2か月」とする(61条の7第8項)。

被保険者の配偶者(一般的には父)が子を養育するための休業をしている場合(パパ・ママ育休プラス制度)、1項の規定、つまり原則「1歳」までのところが「1歳2か月」までとなります。

育児休業給付金の支給申請手続についておさえておきましょう。

被保険者は、初めて育児休業給付金の支給を受けようとするときは、支給単位期間の初日から起算して4箇月を経過する日の属する月の末日までに、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書等を、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難であるときは、事業主を経由しないで提出を行うことができる(規則101条の30第1項)。

高年齢雇用継続給付や介護休業給付との違いをおさえておきましょう。特に、介護休業給付金は、「当該休業を終了した日の翌日から起算して2箇月を経過する日の属する月の末日まで」となっているのに対し、育児休業給付は「支給単位期間の初日から起算して4箇月を経過する日の属する月の末日まで」といったように起算点や期間も異なるので注意が必要です。

出生時育児休業給付金

出生時育児休業給付金は、被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、その子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までとする。)の期間内に4週間以内の期間を定めて当該子を養育するための休業(当該被保険者が出生時育児休業給付金の支給を受けることを希望する旨を公共職業安定所長に申し出たものに限る。以下この条において「出生時育児休業」という。)をした場合において、当該出生時育児休業を開始した日前2年間(当該出生時育児休業を開始した日前2年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、4年間))に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給する(第61条の8第1項)。

出生時育児休業給付金は、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に4週間以内の休業をした場合に、支給されるものです。時系列としては、この出生時育児休業給付金のあとに先ほどの育児休業給付金になりますが、条文の順番通りに進めます。

読みにくいところを補則します。

最初の括弧書き「(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までとする。)」について、原則は、出生の日から起算して8週間を経過する日までです。

ただ、もし出産予定日前に出生した場合は、「出生の日から」「出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日まで」となります。つまり、原則より期間が少し長くなることがわかります。次に、出産予定日後に出生した場合は、「出産予定日から」「出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで」となります。こちらも、原則より期間が少し長くなることがわかります。いずれにせよ、原則より不利にならないように配慮されているという点をおさえておきましょう。

「出生時育児休業を開始した日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったとき」は育児休業給付金と同様です。

被保険者が出生時育児休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が次の各号のいずれかに該当する出生時育児休業をしたときは、出生時育児休業給付金は、支給しない(第61条の8第2項)。

① 同一の子について当該被保険者が3回以上の出生時育児休業をした場合における3回目以後の出生時育児休業

② 同一の子について当該被保険者がした出生時育児休業ごとに、当該出生時育児休業を開始した日から当該出生時育児休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が28日に達した日後の出生時育児休業

1号について、育児休業給付金と同様のことが定められています。

2号について、出生時育児休業給付金は、出生の日から8週間のうち4週間が限度なので、28日に達した日後の出生時育児休業については、支給されません。

「みなし被保険者期間」は、出生時育児休業を開始した日を被保険者でなくなった日とみなして計算されることとなる被保険者期間に相当する期間とする(第61条の8第3項)。

このあたりも、育児休業給付金と同様です。

出生時育児休業給付金の額は、出生時育児休業給付金の支給を受けることができる被保険者を受給資格者と、当該被保険者が当該出生時育児休業給付金の支給に係る出生時育児休業(同一の子について2回目の出生時育児休業をした場合にあっては、初回の出生時育児休業とする。)を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして算定されることとなる賃金日額に相当する額(次項において「休業開始時賃金日額」という。)に日数(28日を超えるときは、28日。次項において「支給日数」という。)を乗じて得た額の100分の67に相当する額(次項において「支給額」という。)とする(第61条の8第4項)。

育児休業給付金とほとんど同じことが規定されています。育児休業給付金は、180日までが100分の67でしたが、出生時育児休業給付金は28日までの全部が100分の67に相当する額とされています。

出生時育児休業をした被保険者に当該被保険者を雇用している事業主から当該出生時育児休業をした期間(28日を超えるときは、当該日数が28日に達する日までの期間に限る。)に賃金が支払われた場合において、当該賃金の額に支給額を加えて得た額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の80に相当する額以上であるときは、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の80に相当する額から当該賃金の額を減じて得た額を、出生時育児休業給付金の額とする。この場合において、当該賃金の額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の100分の80に相当する額以上であるときは、出生時育児休業給付金は、支給しない(第61条の8第5項)。

育児休業給付金と同様の規定がされています。

出生時育児休業給付金の支給申請手続についておさえておきましょう。

被保険者は、出生時育児休業給付金の支給を受けようとするときは、当該出生時育児休業給付金の支給に係る子の出生の日(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては、当該出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日から当該日から起算して2箇月を経過する日の属する月の末日までに、育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書等を、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難であるときは、事業主を経由しないで提出を行うことができる(規則101条の33第1項)。

育児休業給付金と同じように考えることができます。一点、起算日は「子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日から」、期限は「当該日(子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日)から起算して2箇月を経過する日の属する月の末日まで」というように少し条文が読みにくいので注意しましょう。

また、育児休業給付金は、「支給単位期間の初日から起算して4箇月を経過する日の属する月の末日まで」となっていました。つまり、育児休業を開始した時点から起算されます。一方、出生時育児休業給付金は、「子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日から」といったように、原則として出生時育児休業が終わったあとから起算するようになっています。これは、出産後は大変なので、申請などをする余裕がないと考えると理解しやすいと思います。

給付制限

偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、育児休業給付の全部又は一部を支給することができる(61条の9第1項)。

前項の規定により育児休業給付の支給を受けることができない者とされたものが、当該育児休業給付の支給に係る育児休業を開始した日に養育していた子以外の子について新たに育児休業を開始し、育児休業給付の支給を受けることができる者となった場合には、当該育児休業に係る育児休業給付を支給する(61条の9第2項)。

給付制限については、いつもと同じです。

参考:育児休業給付について|厚生労働省

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。社会保険労務士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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